7月前期

『修道女エミリー』『影執事マルクの天敵』『謎解きはディナーのあとで,2』
『僕僕先生』『憑物語』『マチルダ』



鉄球姫エミリー第二幕 修道女エミリー』
八薙玉造


読始7/2 読了7/3

コメント・・・
前作はたいがいな不幸に血塗れな物語だったが、今回はほどほどに救いのある血飛沫だった。
政争を嫌って王位継承権を捨て、修道院に入ったエミリー。
だが、無駄にしつこいノーフォーク公爵はまだ何かを仕掛けていた。
そんなエミリーの下にやってきた護衛騎士はノーフォークの三男、グレンであった。
大事な身内の敵の家系に来られてうれしいわけも無く。
前作ほどには残念スプラッタな展開にはならないものの、流れる血の量は少なくない。
そんな感じ。




『影執事マルクの天敵』
手島文詞 富士見ファンタジア文庫


読始7/3 読了7/4

コメント・・・
今回は家族の物語。
マルクの天敵である兄上が女の姿で現れた。
女性の笑顔のためなら人でも殺すという問答無用な。
さらにフクロウ仮面の庭師も娘に無事に出会えたようだし、ドジっ子いじけ気味メイドのアイシャも誰かと出会えたっぽい。
すべての人に振り回されてヘロヘロのマルクを見て楽しむ本のようだ。
一応は能力者の上位に名前が並ぶこともあった少年だが、ギャグキャラである。




『謎解きはディナーのあとで2』
東川篤哉 小学館


読始7/5 読了7/6

コメント・・・
ずっこけミステリ短編集。
ヘッポコな上司にうんざりする、それでいて自身もたいして才能の無い女刑事にしてお嬢様の宝生麗子。
そして彼女の情報から事件を推理するのは青年執事の影山。
いくつかの事件がサラサラっと解決していく。
読みやすいといえばそれだけかもしれない。




『僕僕先生』
仁木英之 


読始7/7 読了7/9

コメント・・・
中国は玄宗皇帝の時代。
親が役人として十分に金を稼いでいたのでまったく働く気にならない若者。
彼が不老不死を求めた親にちょっとそこの山まで仙人の家に行かせたのが始まり。
仙骨はないが仙縁はあると、少女の姿をした仙人、僕僕先生に連れられてこれといってあての無い旅をする。
のんびり系中華ドラマ。
ほのぼのと満足感がある。
それにしても日本ファンタジー大賞とは、旨い酒を飲むシーンが無ければ取れないのだろうかと思ってしまうわけだ。




『憑物語』
西尾維新 講談社BOX


読始7/10 読了7/11

コメント・・・
ナンバリングタイトルではなく、しかも巻末にタイトルの順番が書いてないので実に困ってしまうシリーズ。
今回は斧乃木余接は式神である。死体から作られたゾンビである。
というプロローグで始まったのに、なぜか、髪の毛が背中まで伸びた暦と髪の毛が足首まで伸びた月火ちゃんが一緒に風呂に入り、それだけで実に枚数の四分の一ほども消費してしまうのだ。
困ったものである。
挿絵は無い。実に困ったものである。
本題は吸血鬼の力に慣れすぎて吸血鬼になりかかった暦の物語なのだが。
まぁ、そんなことはどうでもいいかな(爆)




『マチルダ ボクシング・カンガルーの冒険
ポール・ギャリコ 山田蘭:訳 創元推理文庫


読始7/12 読了7/15

コメント・・・
三流の芸人手配士、ソロモン・ビムスタイン。通称ビミーが出会ったのはボクシングのできるカンガルーを連れた元イギリスボクシングチャンピオンだった。
口から先に、というか口しか生まれなかったようなビミーが旨いこと言いくるめてカンガルーのマチルダ(オス)をサーカスに売り込む。
いや、売るのはカンガルーの芸ね。
そこでカンガルーへの挑戦者募集。勝ったら500ドル。出てきたのは酔っ払った八百長のうわさ絶えない現役チャンピオン。
マチルダ勝利。田舎町のサーカスに偶然居合わせたスポーツ記者は新チャンピオン誕生の記事を書く。
元チャンピオンの裏にいたマフィアが動き出し、大人気のカンガルーボクサーを狙う。
ビミーはカンガルー祭りに乗って一山当てようと立ち回る。
面白アドベンチャー。
だが読み終わったとき「騙された!!」と思うだろう。
しかしヒントはあったのだ。拙者だって何度か「それにしてもこいつは何で・・・?」と疑問に思ったのだ。
その何で?を突き詰めれば真実に辿り着いたはずだ。
推理文庫として発売されるだけのことはあるのである。




トップに戻りたい
リストに戻る