8月後期

『お奉行水がありません』『外田警部、カシオペアに乗る』『悲衛伝』
『暗殺奉行抜刀』『達人の弟子海を渡る』『ブラッグ』
『弧の増殖』『レイン,6』



『お奉行、水がありません!』
山本雄生 徳間書店


読始8/18 読了8/18

コメント・・・
加賀藩に引かれた辰巳用水。完成までの物語。
脚本として書いたらしい作品を小説としてまとめなおしたものらしい。
それだけに展開は速く、いいことも悪いこともザザっと流れていってしまう。
だから、色々な要素がある割りにはなんとなく浅い話に感じてしまったかな。




『外田警部、カシオペアに乗る』
古野まほろ 光文社


読始8/19 読了8/21

コメント・・・
日本のようでちょっと違ういつもの世界、剋シリーズでは使いっ走りをしていた冴えない風貌の実力者。
愛媛県警の外田警部は犯人を追って県外出張をしていた。
その移動中に乗った何本かの電車で、偶然事件に突き当たる。
縄張り荒らしはいたしませんゾナ、と腰を低くするも、上司から手が回ってちょっと協力して解決しなさいと。
仕方なく、コロンボのようなスーパーまくしたて機能を発揮して容疑者を困惑させ混乱させ、釣り上げる。
なんか取り調べに入る前から犯人を見抜いているような鬼警部である。




『悲衛伝』
西尾維新 講談社ノベルス


読始8/22 読了8/25

コメント・・・
前の巻から結構時間が経っていたので開幕からアレ?って思ってしまった。
そうそう。地球と戦うのに地球にいたのでは不利だと、人工衛星悲衛に乗って宇宙へと飛び出したんだった。
だが宇宙空間で空々空の部屋に唐突に来客があった。
バニーガール姿の少女は月と名乗った・・・
地球と戦うなら月と話し合うこともある?
壮大に、壮大に山盛りにした積み木をドロップキックで吹き飛ばすような怪作とでもいうか。




『暗殺奉行 抜刀』
牧秀彦 双葉文庫


読始8/25 読了8/26

コメント・・・
50才で北町奉行となり、頑張って働こうと思った依田。
だが、若殿の徳川家重に呼び出され、吉宗の時代に行っていた古稼業の暗殺を申し渡される。
年齢的にしんどいんだけど・・・と言っても聞いてもらえず、とりあえず仕事を手伝えそうな仲間探しから始めることになる。
法で裁けぬ悪ならば、バッサリ斬ろうホトトギス。
痛快江戸小説。
痛快に思うためには、まず邪悪がはびこる展開になるのが困りものだが・・・




『達人の弟子 海を渡る』
室積光 中公文庫


読始8/26 読了8/27

コメント・・・
かつて新興宗教と戦った達人山本俊之、議員にウンコ漏らしさせた達人の孫娘。
さる事情、いや信念によって力を身につけたいと望む留学生マルコが出会うことになる師である。
マルコと寮での世話係だった晃吉は山の上の陶芸窯で世話になりながら修行する。
前作のようなアクション巨編ではなく、どちらかというと人生の、精神の成長を描く要素の方が多いかな。
だがこれはこれで胸に来る。




『ブラッグ 無差別殺人株式会社』
両角長彦 実業之日本社文庫


読始8/28 読了8/29

コメント・・・
あとがき解説では星新一のような、と評されていたが、拙者的にはよく知らないので。
内容的にブラックジョーク的な流れにキノの旅に近いものを感じた。
ブラッグ社員が人を殺したり殺されたり、そして会社の実体は?という・・・サスペンスミステリ?
いや、無理にジャンル分けをしなくてもイイか。
やや残酷気味の連作ショートストーリーということで。
不思議な味わいに、別作品も読めるなら読んでみようかなと思うくらいには満足した。




『弧の増殖 夜刀浦鬼譚』
朝松健 エンターブレイン


読始8/30 読了8/31

コメント・・・
朝松健お得意のクトゥルー系オカルトホラー。
序盤は素人お断りって感じのベタっとしたプロローグから、景気の悪い暗いストーリーが始まる。
巨石遺跡と、メガサーバと、殺人事件と、都市伝説と。
いろいろなものが交じり合ってユゴスから邪神を呼び寄せる。
しかし、こういうストーリーはラヴクラフトの作品にはあるのかなぁ?
一冊くらい読んだけど、せいぜいインスマウスが出てくる程度で邪神超ヤバイって作品にぶつかってないからわからん。
菊地秀行とか、ジャパンアレンジされたクトゥルーだけ読んでればいいのかな。




『レイン,7 星祭りの夜』
吉野匠 アルファポリス


読始8/31 読了9/1

コメント・・・
魔人レイグル率いるザーマインの侵攻に人間国家は一応スクラムらしいスクラムを組むことだけは出来た。
いや、まだ、寄り集まったというだけでスクラムというほどにはガッチリしていないか。
特に提案者のレインがないがしろにされているということでサンクワールのシェルファ女王はプンプンむくれています。
レインはレインでいずれわかるさと、扱いが軽いことは全く気にせず。
女王と星祭りに出かけることに。
だがそれは暗殺者を釣り出す為の罠でもあった。
無敵レインの大活躍、からの巻末短編過去物語。
ここでレインが時々名乗る恥ずかしい名前の正体が。
いや、話自体は悲しみの方が強いんだけどね。





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