八月前期

『禁涙境事件』『PuZZler』『餓狼伝Z』
『山猫の夏』『特命転攻生』『渦動破壊者』

禁涙境事件some tragedies of no-tear land
上遠野浩平 講談社ノベルス


読始8/3 読了8/4

コメント・・・
「泣くのはよそう。涙は禁止だ」
そう言ったところで謎の死を遂げた町の創設者。
魔法の威力をほぼ無効化する十字線によって守られたこの町は禁涙境と呼ばれることになった。
そんな、この町で起きた古い事件と、今。
戦地調停士EDの物語第4弾。
推理モノとしては微妙で、シリーズ的にも新キャラ紹介くらいにしか思えなかったり。
ただ、シリーズを読んできた人には、数々の旧作キャラが登場する辺りが美味しいというか、そこそこのサービスになったいるわけでそれなりの満足感はありそう。




『PuZZler 謎と論理のエンタテインメント
西澤保彦 集英社


読始8/4 読了8/5

コメント・・・
それぞれに全くつながりの無い短編6作。
あいかわらず、伝聞や感じた小さな違和感などから妄想を膨らませて推理していく方式が基本で、イチイチ細かい犯人の都合・真実などには触れない。
ただ、推理者の結論があるだけ。
個人的には一番最後のアリバイ・ジ・アンビバレンス。
アリバイがあるのにあえて自分が犯人だという少女の話。
この仕掛けが気に入った。
どっちに転んでも自分の勝ちか・・・やるなぁ
だけど、視点を変えたらどん底からはそれ以上下に行かないだけ、という気も・・・
まぁ、どの話もイヤになるくらい人の情念が濃く籠められている感じ。
それが、西澤式短編スターイル。




『餓狼伝Z』
夢枕獏 双葉文庫


読始8/5 読了8/8

コメント・・・
ついにプロレスラー長田と空手家姫川が激突する。
なんかスゴイ文章です(笑)
私闘学園とどっちが先だろう?
そして、日本の格闘祭りに「出遅れた」と思いつつも海外のマフィアやプロモーターも動き始めた。
その結果が「丹波文七を倒せば試合に出られる」
文七は降りかかる火の粉を払った後は、海外の大会に乗り込むのか?




激しく広告 『山猫の夏』
船戸与一 講談社文庫


読始8/8 読了8/11

コメント・・・
餓狼伝の何巻かのあとがきで作者がハマったというので読んでみることに。
ブラジルの田舎町エクルゥ。
ここで権力を持つ二家の富豪、アンドラーデとビーステルフェルトは血を血で洗う戦いを続けていた。
町の住人も自然と二派に別れる始末。
そんな町の安全地帯、蜘蛛の巣のバーテンをやっていたおれの前に現れた謎の日本人山猫。
彼によってこの町が洗濯機のように掻き回される・・・
解説でも書かれているけどロミオとジュリエットで用心棒。
おれは山猫に引きずり込まれて、駆け落ちしたアンドラーデの息子とビーステルフェルトの娘を追跡する旅に同行することになる。
南米が舞台なだけに激しく熱い物語。
分厚い文庫ですが、山猫の魅力に引かれてズンズン読めます。
なかなかオススメ。




『特命転攻生』
新城カズマ+新藤キミテル ファミ通文庫


読始8/11 読了8/12

コメント・・・
学校のエネルギーが凝り固まり、卵となり、生徒と繋がりを持つ。
そして卵のエネルギーは生徒の妄想を実現させ、現実を捻じ曲げる。
このような事態に対して、文『武』省は特殊な能力を持つ生徒を送り込み、卵を封印させる。
これが特命転攻生。というTRPGらしい。
ストーリーの方は、まぁまぁか。
いったい誰が卵に取り憑かれているのか?というミステリ色はいいのだが、キャラの使いこなしがなってない。
主人公・成宮亮介は犬と会話のできる忍者系キャラ。イマイチ頼りなくて実際大して役に立ってないようだ(爆)
そしてヒロイン・黛詩穂。卵を封印するだけの係なのに現場に乗り込んで何かと無駄に掻き回す。っていうか、開幕に逆さ磔にされてパンツを見せただけという印象。
こんな二人でどうやって解決したんだっけ?とコレを書きながら頭をひねるほどだ。
まぁ、アイデア以外には見るところ無しかな。




『レンズマン・シリーズ,7 渦動破壊者』
E.E.スミス 小隈黎:訳 創元SF文庫


読始8/12 読了8/17

コメント・・・
コメント・・・
レンズマンシリーズでありながらレンズを持っていない人物が主人公。
あれ?6巻もそうだったか。
とにかく渦動破壊者。えらく凶悪そうな名前でどんな敵かと思ったが・・・
違った。
野放し原子渦動なる、極悪非道に有害で危険な存在を粉砕できる唯一の人物ニール・クラウド。
彼が渦動破壊者(ボルテックブラスター)なのだ。
渦動の動きを神掛かった計算で読み解き渦動と同じ質量の爆弾をぶつけ、消滅させる。
例えるなら、台風を爆弾で吹き飛ばすような仕事か。
その台風は毒ガスやら放射線やらをばら撒いてるんだけど・・・
そして、ただ一人で宇宙を駆け原子渦動と戦うクラウドはある日事件に巻き込まれて、やむを得ず欲しくも無い5人の乗組員を手に入れることになる。
だが、民間人の彼らはそれぞれが都合良すぎる位(笑)能力の持ち主だった。
いつものボスコーン相手の大きな事件と戦うわけではないが、そのかわりというか様々な星に住む人々が面白く書かれている。
暑い星が多く、ほとんど裸にデラメーターなるレーザーガンだけ身に着けるという恥ずかしファッションになるニールとか。
ただ、オチが。広げすぎかもしれないけど。
主人公が育ちすぎ。




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