九月前期
『柳生非情剣』・『テロリストのパラソル』・『餓狼伝,8』
『ダック・コール』・『カルナヴァル戦記』・『ソウルドロップの幽体研究』
『深川澪通り燈ともし頃』・『検察捜査』・『新本格魔法少女りすか』
『柳生非情剣』
隆慶一郎 講談社文庫
読始9/1 読了9/4
コメント・・・
柳生新陰流の使い手の物語6編。
連也斎。兵庫助利厳の三男。尾張柳生として江戸柳生と戦う。
左門友矩。宗矩の次男。十兵衛の弟。そして徳川家光の恋人となって後、父の命で首を切られる。
又十郎宗冬。宗矩の三男。愚鈍に練習を積み重ね、強くなっていたが自覚なし(笑)
十兵衛三厳。宗矩の長男。言わずと知れた隻眼剣士。
新次郎厳勝。石舟斎宗厳の嫡男。戦場で弾を受け下半身が崩れる。
五郎右衛門宗章。石舟斎宗厳の四男。関ヶ原で小早川秀秋の護衛として就く。
こんな彼らの生き様。剣の技が描かれる。
隆慶一郎式の歴史観込みの秀作。
『テロリストのパラソル』
藤原伊織 講談社文庫
読始9/4 読了9/6
コメント・・・
乱歩賞と直木賞を取ったという人気作。
確かにそれだけの力はあるな。
なにしろキャラが強い。
主人公は元大学闘争の戦士。現在はプロの酔っ払い(笑)
いつものように酔っ払っていたら中央公園で爆発テロが!
その事件で昔の自分の仲間が二人死んでいたことを知る。
いったいコレは・・・ただの偶然でこんなことが?
島村はうっかり現場に残してしまった指紋つき酒ビンをヤバイと思い逃亡しながら事件の真相を探る。
協力してくれるのは元警察官の現ヤクザ浅井。爆発で死んだ昔の仲間の娘塔子。
島村の向かう先にある真実とは一体・・・
ってなわけで面白いですね。うん。やはり賞を取るだけのことはある。
キャラが強くて。
『餓狼伝,[』
夢枕獏 フタバノベルス
読始9/6 読了9/7
コメント・・・
今回はアメリカからの刺客、葵流の物語。
アメリカは裏世界の地下バトルで葵左門は梅川丈次と戦う。
そして、左門の息子三兄弟の修行。
いまでは常識となったバーリ・トゥード。マウントポジション。ブラジリアン柔術の登場。
格闘知識は山盛りだけど、キャラが脇役なだけにそれほど燃えないかも。
『ダック・コール』
稲見一良 ハヤカワ文庫JA
読始9/7 読了9/7
コメント・・・
まれに見る美しさを持った小説、らしい(笑)
都会に疲れ、旅へと飛び出した若者が川原で出合ったのは石に鳥の絵を書く親父。
その不思議な石を見ながら寝てしまう。そして夢の中で鳥に関わる6つのストーリーが・・・
確かに、イイ物語が連発する。
特に、少年とおじさんが年齢を超えた友情で繋がる密猟志願。良かった。
主に狩りの物語だけどそれだけではなく、いや、まぁ、秘密(笑)
なかなかいいんじゃない?
ちなみにタイトルのダック・コール。鳴き声を出して獲物を引き寄せる鴨笛は出てこない(爆)
『カルナヴァル戦記』
船戸与一 講談社文庫
読始9/7 読了9/9
コメント・・・
カルナヴァルと言うといったいどんな国かと、田中芳樹のようなファンタジー小説かと思うが。
英語で言うとカーニバル。そう、ブラジル大好き船戸与一。リオのカーニバル。
まぁ・・・タイトルに似合わず、ブラジルを舞台にしたハードボイルド短編集なのだが・・・
どれも無国籍状態の日系人が主人公。
だらだらとした生活の中で、巻き込まれてしまった事件。
ブラジルの裏側の暗い部分に焦点を当てた、いつもの作風。
「勝ち組」って今の世の中だと全然別の意味になるからなぁ。
ブラジル歴史で言う日系人の勝ち組というのは、ポツダム宣言による終戦はアメリカの罠だ、嘘だ、日本は負けてない、勝ったんだ、と主張する一派。
勉強になるなあ。
『ソウルドロップの幽体研究』
上遠野浩平 ノンノベルス
読始9/9 読了9/12
コメント・・・
さりげなく、ブギーポップの世界。
だがここで暗躍するのはペイパーカットと呼ばれる謎の人物(?)
『生命と同等の価値のあるものを盗む』と予告を出し、そして何の価値も無いような物を持ち去る・・・
が、なぜかそれを盗まれたものは生命が停止している。
そんなペイパーカットを追うのはサーカム保険の二人の調査員。
ペイパーカットの予告の届いたコンサート会場でいったい何がおきるのか!?
なにしろペイパーカットは他人に姿を見られない・・・
いや、見る人によって印象が代わるというイカサマくさい能力の持ち主なので見つかるほうがどうかしている。
というわけでスリルはないなぁ。
主人公の二人の調査員も迫力がイマイチだなぁ。
全体的に物足りない感じ。
『深川澪通り燈ともし頃』
北原亞以子 講談社文庫
読始9/13 読了9/14
コメント・・・
一作目が短編集だったのに対して、今回は二本の長編。
狂歌に狂って女房に逃げられた男の話と、妻子ある男に惚れズルズルと続いてしまった女の話。
まぁ、他人の恋愛話に興味は無いので勝手にスレということで全然面白くは無い(爆)
それでも江戸情緒くらいは楽しめるか。
解説にもあるが、狂歌師なんてものは全然知らないしね。
そして、この本のすごいところは何も解決しないこと(笑)
どちらの問題もイマイチ解決せず、なんというか・・・
心がくじけたとき木戸番小屋の笑兵衛・お捨夫婦に会い、わずかなりとも力をとりもどす。
そんな感じかな。
うん、木戸番小屋の夫婦はいいキャラだね。
『検察捜査』
中嶋博行 講談社文庫
読始9/14 読了9/15
コメント・・・
この間読んだテロリストのパラソルに続き、この本も江戸川乱歩賞受賞作。偶然だなぁ。
これは検察庁という、独特な世界を中心とした話。
日本弁護士連盟、略して日弁連の次期会長に立候補する予定だった西垣が殺された。
その事件を調べるのは横浜地検の岩崎紀美子。
有能か無能か微妙なラインの彼女は持ち前のはねっ返り精神で突撃する。
検察官・弁護士・裁判官・警察官の仲の悪さを見事に書き出した・・・
法曹界ってホントに大丈夫かよ!?な一本。
ある意味ダメな世界を見たければドゾー。
『新本格魔法少女りすか』
西尾維新 カドカワノベルス
読始9/15 読了9/16
コメント・・・
なにが新本格なのかは分からないが・・・
魔法の国長崎から飛び出した父を追いかけようとする水倉りすか(10才)
彼女を使いこなそうとする傲岸不遜なクソガキ供犠創貴(10才)
それぞれの目的を持ちながらりすかの父、水倉神檎の手がかりを求め魔法でおきた事件を探す。
そんな魔法狩り中編3本。
まぁ・・・りすかは魔法使いとは言っても自分の運命(時間)にだけ作用するというわけで、火の玉を飛ばしたり雨を降らせたりできるわけでもなく使いにくい?
最終奥義は『死ぬ』と自己防衛機能が発動して17年後の成長したりすかになって無敵の魔力が炸裂するという・・・
 |
大人りすかのイメージ画像(笑) |
西尾維新らしい(?)いやーな後味が残る嫌作
あぁ、表紙で売り上げ損してるかも。コワイよ。
中の絵はなかなかカワイイのに。
トップに戻りたい
リストに戻る
ゲームの伝道
最近はティンクルスターとMHGしかプレイしてないな。
時間が足りないなぁ・・・