十二月前期
『方舟は冬の国へ』・『フルメタル・パニック!』・『機械仕掛けの蛇奇使い』
『モーツァルトは子守唄を歌わない』・『マジカルランド,8』・『吃逆』
『伍子胥』・『一休虚月行』・『マジカルランド,9』
『ベートーヴェンな憂鬱症』
『方舟は冬の国へ』
西澤保彦 カッパノベルス
読始12/1 読了12/1
コメント・・・
あらすじを読んだときはイマイチ魅力を感じなかった。
隠しカメラ隠しマイクで監視された別荘で主人として一ヶ月振舞えば大金がもらえる。
十和人はハローワークの帰りにそんな仕事を持ち込まれた。
で・・・「つなし」という苗字の意味を閃いたものの、すぐあとに答えが出ててションボリ?
彼に仕事を持ち込んだ男にいたっては言語同断と書いて「てくらだ」と読む。
さすがにこれは由来のユの字も分からない。
それはともかく、十は女性、少女と三人家族として仲良く暮らせと。
どんな一ヶ月になるものやら・・・
一応、「らしい」本にするために、暇をもてあました二人が昔語りをして
「こんな不思議なことがあったけど」「それは・・・」
いつもの西澤式妄想推理付き。
だけど本筋は、なんて言えばいいのかな。ほのぼのファンタジーに近いかも。
異常な状態で三人が仲良くなる?
死体が出てくることも無く、楽しく読めました。
ただ・・・推理が行き過ぎて予想が外れたのがションボリ。
『フルメタル・パニック!
戦うボーイ・ミーツ・ガール』
賀東招二 富士見ファンタジア文庫
読始12/2 読了12/2
コメント・・・
フルメタルパニック。タイトルは知っていたしサブストーリーはアニメで見ていたけど。
なるほどなるほど。本編はこんなストーリーだったのか。
女子高生千鳥かなめはウィスパード、生まれる前から超技術の知識を持つ者であった。
KGBに狙われる可能性があるという情報から、超組織<ミスリル>の軍人相良宗介は、その高校に転入することになった。
日本人ではあるものの、戦場で育ってきた彼はやることなすこと常識ハズレの大ボケ男。
だが、その異常性は戦場での正常性となる。
アームスレイブと呼ばれる人型兵器を駆り、戦う。
今回の敵は、かなめをさらうために修学旅行沖縄行きの飛行機をそのままハイジャックするような危険なテロリスト。
なかなかにスリリングで興奮できた。
『機械仕掛けの蛇奇使い』
上遠野浩平 電撃文庫
読始12/2 読了12/4
コメント・・・
タイトルがイマイチで手にとってこねくり回した挙句、一度本棚に戻したんだけどもう一度手に取る。
読んでみると設定からイイ感じ。
なにもやる気の無い、形だけの少年皇帝。唯一の趣味は古代遺跡の収集。
そのなかでもお気に入りは闘争と破壊の化身と言われるルルド・バイパーが封印された鉄球。
ある日、科学者のカミングじいさんがその封印を解けると言い出し・・・
ローティフェルド皇帝の受難と再生の短期間の冒険が始まる。
『モーツァルトは子守唄を歌わない』
森雅裕 講談社文庫
読始12/4 読了12/6
コメント・・・
モーツァルトの死についてベートーヴェンが調べる。
なぜかイラストはパタリロの魔夜峰夫(笑)
江戸川乱歩賞を受けるくらいだからお笑いではなくミステリに分類されるのだがな・・・
まぁ、ベートーヴェンと探偵助手、ではなくて音楽の弟子チェルニーとの掛け合いは中々にユーモアがあるが。
とりあえず、この物語は「これがモーツァルトの死の真相だ」と押し付けるものではなく、実在する人物と事件でそれっぽい話を作ったと言うか・・・
挿絵のせいか、それほど深刻にならずに読める(笑)
ただ、章題がドイツ語で書かれていて読めない&意味不明なのが微妙に痛い。
1章のレクイエムくらいはさすがに読めるけどね・・・
『マジカルランド,8 魔物をたずねて超次元!』
ロバート・アスプリン 矢口悟:訳 ハヤカワ文庫FT
読始12/6 読了12/6
コメント・・・
スキーヴは魔術と人生の師匠であり、親代わりとも思っていたオゥズが退職届を出して魔法探偵社を去ってしまったことに激しくショックを受けていた。
そして、最悪と呼ばれる次元、天邪鬼の世界パーヴへ、単身突撃するのであった。
魔術と科学が両立して進化した世界・・・といいながら魔界都市<新宿>のような迫力は1mgも無く、技術力よりはむしろ天邪鬼そのものの鬱陶しさが目立ったかな(笑)
ともかくも片田舎の次元であるクラー出身のスキーヴはパーヴの流れに翻弄されまくり。
こんな大都会で本当にたった一人の人物を探し出すことが出来るのか!?
悪人もいれば協力者も出てくるし金をたかる連中も。
前代未聞の物価高の世界でスキーヴのサイフは無事でいられるか(笑)
ともかく、早くオゥズ見つかれ〜〜!!という気持ちで一気に読み終わってしまった。
床屋の待ち時間のせいとも言うけど・・・(爆)
『吃逆』
森福都 講談社文庫
読始12/7 読了12/8
コメント・・・
宗の時代。科挙に274/331という微妙な順位で合格した陸文挙。
まぁ、科挙に合格したと言うだけでもスゴイことはスゴイのだろうが、あいにくと仕事が回ってこない。
特殊能力はしゃっくりをすると白昼夢を見る・・・二話では何かを閃く程度に抑えられたりするけど。
そんな文挙を相棒に選び、新聞を発行しようとする美男子の周季和。
宋の都、開封で起きる不思議な事件を追う二人が見るものは?
推理モノとしては、まぁ・・・それなり。
『伍子胥』
伴野朗 徳間書店
読始12/8 読了12/12
コメント・・・
微妙なキャラと言えよう。春秋戦国時代の勇士である。
楚の国に生まれ、知力体力に優れる。
楚の平王に仕えるが、奸臣費無忌の讒言により父と兄を殺される。
呉へと逃れた子胥は太子闔廬を王にまで押し上げる。
その際、手段は選ばない。人を探し、暗殺も行なわせた。
この辺のエピソードから、いや、この小説だけで言えば伍子胥は親の仇討ち4割・自分の才能を試したい6割といった割合で行動しているような気がする。
呉が越に破れたとき、呉王夫差はマキの上で寝起きしたと言う。すなわち臥薪である。
越王勾践は呉に敗れたとき、熊の胆を吊るして嘗めたと言う。すなわち嘗胆である。
そういう時代である。
不思議な時代と言えよう。ある国の実力者が別の国に亡命して高い地位を得る。
王もそんな人材の話を聞き、受け入れていた。
その辺の大らかさが古代中国を進歩させたんだろうな・・・
中華人民共和国が永遠に『中国』だったら世界統一くらい出来たかもな(笑)
それはそれとして、きれい事だけですまない、熱い男の生き様を刻んだ一冊。
『一休虚月行』
朝松健 カッパノベルス
読始12/13 読了12/14
コメント・・・
ヒゲヅラのおっさん一休さんが戦う室町オカルトシリーズ、第三弾。
未来の五代将軍、足利義量が呪われた。
敵の名は悪巣。存在を喰らうもの。
居たという存在そのものから食い尽くす。記録からも記憶からも。
彼を守ろうとする一休も、しばしば自分が何のために働いているのか忘れてしまうという恐怖の状況。
そして、道中の菊地秀行や山田風太郎のごとき超人バトルも非常に熱くて良い。
室町でオカルトでアクション。贅沢な作品だね(笑)
『マジカルランド,9 魔法探偵、総員出動!』
ロバート・アスプリン 矢口悟:訳 ハヤカワ文庫FT
読始12/14 読了12/14
コメント・・・
スキーヴがオゥズを探してパーヴを旅していた頃、M.Y.T.H.(魔法探偵社)のメンバーはクラーでヘムロック女王の侵略戦争を妨害するべく行動していた。
チャムリィとタンダの兄妹は情報戦で。
クジラのような巨体のマッシャは将軍をたらしこむ?
そして、組織の人間で用心棒のグィドとヌンジオは兵隊として入り込み、内部から妨害しようと。
話は主に軍隊内部にもぐりこんだグィドを中心に展開する。
企めば企むほど空回りだったり裏目に出たり、頼みもしないのに出世させられたり?
それなりに面白。
『ベートーヴェンな憂鬱症』
森雅裕 講談社文庫
読始12/14 読了12/16
コメント・・・
前作は一冊の長編だったが、今回は短編・・・いや、中編かな?が4本。
ベートーヴェンが様々な事件に遭遇する。
と、言っても、一般人がどこぞの名探偵みたいにポコポコ事件に遭遇するわけが無い(笑)
うん、ベートーヴェンの若き日から老人になりかけたところまで時代は幅広く。
少しずつ耳が悪くなっていく様子が微妙に切ない。
ストーリーは、挿絵に引きずられたのか、ずいぶんとコミカルな印象を受ける。
子供だったころのカール・チェルニー。
激しくベートーヴェンを掻き回す。
生徒だったジュリエッタとの恋愛関係。
多くの音楽家が登場するのも、いかにも当時のウィーンって感じでイイ。
うん、つまり、世界の作り方から事件の登場まで全てが面白かったと。
トップに戻りたい
リストに戻る
ゲームの伝道