七月後期

『時間不動産』『しびとの剣,2』『忍法八犬伝』
『七剣下天山(下)』『ダブルブリッド,7』『沙門空海唐の国にて鬼と宴す,1』


『時間不動産』
草上仁 ハヤカワ文庫JA


読始7/21 読了7/22

コメント・・・
例によってSF短編集。
いつものようにそれほど暗い話にはならない。
しかし、不思議生物は出てこなかっ・・・
あぁ、毒としてアルコールを注入する、あるいは麻薬をという蜂グロウビーが出てきたか。
工業を認めない星で、自然的にアルコールや麻薬を生み出すために蜂の品種改良をするって話だ。
とりあえず「最高っ!」というレベルのネタはなし。
それなりにまぁまぁ。読んで損することは無い(笑)




『しびとの剣 魔王遭遇編』
菊地秀行 ノン時代伝奇ロマン


読始7/22 読了7/23

コメント・・・
うかつにも飛ばしてしまった二巻をいまさら読むことにする。
生き返らされた死人、冴月紫靡帝。父に託された冴月家復興のために動いているのかどうかは・・・
信長やらからくり巨大武者やら蘭剣やらがそんな紫靡帝に襲い掛かる。
超絶バトルの始まりだ。




山田風太郎傑作忍法帖 忍法八犬伝』
山田風太郎 講談社ノベルス


読始7/23 読了7/26

コメント・・・
忍法の度合いは低いな・・・いや、面白いのは確かだが。
なんていうのかな。金庸が武侠なら風太郎は忍侠とか侍侠or士侠って感じ(笑)
里見八犬伝から150年後。
江戸と大阪が一触即発の時期。本田佐渡守によって大久保一族とそれに連なるものまで追い落としにされかかる。
里見家も領主の妻、村雨姫が大久保の一族だったものだから。
取り潰しの口実として8つの珠を差し出せとの幕府のお達し。
だが、その珠はすでに伊賀忍軍によって盗まれていたのだ。
取り返すのは八犬士の子孫たち・・・のはずだが彼らは修行に出された甲賀をスタコラ逃げ出し、各々江戸で自由気ままに暮らしていたときたもんだ。
おーい、里見家はどうなりますかぁ?
と、心配しなくても血で血を洗う凄絶な戦いが待っているのであった。
最初に書いたように忍法度は低いものの、読者の血が滾り、心震えるエンターテインメント。
とても良し。




『七剣下天山(下)』
梁羽生 土屋文子:訳 徳間文庫


読始7/26 読了7/28

コメント・・・
易蘭珠は仇であるドドを討ち果たすものの囚われの身となってしまった。
彼女を取り戻すため江湖と王朝は血で血を洗う戦いを始める。
そう。ひたすら戦闘シーンが連発する。残りページ数が少なくなっても(笑)
ただ、文中に技名が多いんだけどどんな技なのかね?
玉帯囲腰って・・・相手の腰に切りかかる技なのかな?
想像力は育つかもしれないけど、リアルと違うことを想像しすぎていたら美しくないかも(笑)
とりあえず満足したんだけど、シリーズとして前後にいくつかあるらしいんだよね。
早急な訳本出版を希望する。




『ダブルブリッドZ』
中村恵里加 電撃文庫


読始7/28 読了7/31

コメント・・・
やばいね。
話はとにかく良く無い方向に一直線である。
主人公っぽい立場の山崎太一郎は鬼斬りというアヤカシを殺す武器に体を乗っ取られつつあった。
アヤカシに対して絶対的な攻撃力を持つが、アヤカシを殺す度に人としての意識を失っていく・・・
山崎は鬼斬りを処理してくれるかもしれないアヤカシ、空木を求めて街をうろつく。
そんな彼の危険性に「殺すしかない」と一人立ち向かう巨大熊の八巻厳。
ヒロイン的立場の優樹は破壊された肉体の再生中。
体から妙な汁を流しながら失った肉が元に戻るのを待つ・・・って絵にしたらとんでもないグロだな。
そして話は絶望的に不幸の下り坂をノンストップで突き進む。
イヤ面白いというダークストーリー。




『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一』
夢枕獏 徳間書店


読始7/31 読了8/2

コメント・・・
空海が遣唐使と共に中国へ渡り、密教の密を手に入れようとする話。
『天才』である空海が中国で様々な出来事に泰然と立ち向かう。
すでに悟りを開いたかのように超然としてあせることが無い。
それは同行者である橘逸勢はやなりの仕事である(笑)
この空海がこの先冷静な態度を取り続けることが出来るのか?
どんな怪異もサラリと流せるのか。
先が気になる面白さである。




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