八月後期

『ブロークン・フィスト,2』『天華無敵!』『ダブルブリッド\』
『まほろ市の殺人 冬』『沙門空海唐の国,4』『鞍馬天狗,1』
『腕貫探偵』『秋葉原竜戦記』『天空の船(上)』
『天空の船(下)』


『ブロークン・フィスト,2
傷だらけの遠い明日』
深見真 富士見ミステリー文庫


読始8/13 読了8/15

コメント・・・
空手少女と、実は殺人武術の使い手である少年が、武術に関わる殺人事件に巻き込まれて飛び込んで解決するという富士ミスクオリティー
今回は古流剣術の出番だ。
ななかなかいいキャラクターが登場するもんだから、殺人事件とか起こらず普通に青春格闘物として進めばいいのにと思ってしまう(笑)
そういうわけでノリはいいのかな。
うん、それなりに楽しめたかも。




『天華無敵!』
ひびき遊 富士見ファンタジア文庫


読始8/16 読了8/18

コメント・・・
表紙は好きじゃないなぁ(爆)
なにしろ内容を全然語らずに女の子二人を並べただけじゃあね・・・
ストーリーもいまいち破壊力が無く、準入選???
とハテナマークを並べてしまう。
精霊の力を利用するようになった新精紀。精霊の力を感じられない少女は、古代遺跡、機械の発掘に燃える。
うーむ、まぁまぁの設定ではあるが。
締めくくりはなかなかさわやかで良かったけど。なんかちょっと足りなかったな。




『ダブルブリッド\』
中村恵理加 電撃文庫


読始8/18 読了8/20

コメント・・・
アヤカシを殺すために生まれた木刀に取り憑かれた山崎太一郎。
アヤカシと人間のハーフである優樹は最近脳の調子が悪く記憶が曖昧だったり。
相川虎二の同級生の少女は太一郎に殴られるトラ型のアヤカシ・・・っていうか虎二を見てどうするか。
最悪で後ろ向きなストーリーにかすかに訪れた、ちょっとだけのほのぼの?
予想通りだったとはいえ、これはうれしい展開。
少しくらいイイこともなくっちゃ読むのがツライわなぁ。




『まほろ市の殺人 冬 蜃気楼に手を振る』
有栖川有栖 祥伝社文庫


読始8/20 読了8/20

コメント・・・
突然この連作シリーズを読破しようかと思って手を出す。
薄いし、ね。
さて、まほろ市では蜃気楼に向かって手を振ると向こう側に連れて行かれてしまうという風習(?)が。
蜃気楼に手を振って三つ子の一人が死んでしまったのはもう25年も前か。
残った二人の一人は地味な堅実派。一人は無責任なヒモ的存在。
飲み屋の帰りに見つけた転倒バイク。傍に転がっていたのは大金の入ったカバン。
堅実派はその金を拾い、気付いたヒモを絞め殺してしまう。
だが彼の前を死んだはずのヒモがうろつき始める?
精神的に追い詰められていくサイコな話?




『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ四』
夢枕獏 徳間書店


読始8/21 読了8/23

コメント・・・
ついに完結。
空海と愉快な仲間たちは玄宗皇帝と楊貴妃の思い出の地である華清宮へ向かう。
そこで宴会を行うために。
そこに集うのは一体どんなメンバーになるのか。
全ての謎が明かされ、様々な中国詩を感動的に味わえる不思議小説(笑)
あとがきで作者が自画自賛してるけど、うん、それだけの価値はあるね。
なんか、本の発売自体はサクサクっと行われた(新聞の広告欄で見た)んだけど、じつは17年がかりの超難産だったとか。
驚きだね。
というか、それ位かけなくちゃ書けない小説といえよう。
別の角度から見たら「空海超天才」ってだけの小説にも見えるけど、それはそれで楽し。
満足した。




鶴見俊輔が選ぶ 鞍馬天狗,1 角兵衛獅子』
大佛次郎 小学館文庫


読始8/23 読了8/24

コメント・・・
なぜか突然、鞍馬天狗だ(笑)
大佛次郎の本にも興味あったしね。
そして、肝心の内容は!
序盤は古臭い文体にハズレを引いたか?と心配したが読み進めるとどんどん盛り上がってくる。
ただ、鞍馬天狗がいきなり敵方に顔も名前も晒してしまう辺りが・・・
だって、正体がばれてたら困るじゃん(笑) 暗躍できないし。
とにかく角兵衛獅子の中身だった杉作が鞍馬天狗の周りを跳ね回り、邪魔になったり助けになったりする。
維新派の天狗&西郷どんたちの敵は、壬生狼と呼ばれる新撰組!
悪役は悪なだけではなく、それなりの真っ直ぐな生き様を持っている。
近藤勇と鞍馬天狗の戦いは一体どうなるのか!
いい感じだね。




『腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿
西澤保彦 実業之日本社


読始8/24 読了8/25

コメント・・・
不思議ミステリー短篇連作。
謎を抱える人の前にどこからとも無く現れる市役所員風の男。
彼にその疑問を語ると、一秒の停滞も無く疑問を氷解させるキーワードが返ってくる。
ある意味、無敵の安楽椅子探偵?
市という限定領域を利用して、別の事件に登場した名前が次のストーリーに登場したりする。
なかなか面白い。GOODなオチも付いたしね。
そうか、あんまりブラック過ぎなかったのも良かったかな。
毎度おなじみの珍名奇名キャラばかりの世界というのはお約束(笑)




我が竜を見よ外伝 秋葉原竜戦記ドラゴンクロニクル
海法紀光 ファミ通文庫


読始8/25 読了8/26

コメント・・・
このゲームはプレイしていないんだけど、外伝という形だからまぁいいべぇと。
作者の別の本でもそれなりに満足してたし。
謎の力によって凍りついた秋葉原。そこは精霊が暴れまわる土地だった。
機械が動かず、だが精霊たちは人間に襲い掛かってくるそんな最悪な世界。
そこにいるのはドラゴンピースと呼ばれる精霊を見ることの出来る人間の竜兵部隊。
サンフランシスコに住んでいたトールも精霊視能力があると分かった瞬間そこに投げ込まれた・・・
全体的に物足りないかな。
もう少し2巻3巻くらいまで引き伸ばしたほうがいい感じになると思うんだけど、ライトノベルはあまり引き伸ばすと読者が読むのに疲れるのか。
むしろうまくまとめたと褒めたほうがいいのかな。




『天空の舟 小説・伊尹伝 上』
宮城谷昌光 文春文庫


読始8/26 読了8/28

コメント・・・
ちょうど、商の時代に興味があったので手に取る。
いや、実際は夏の時代から商の時代への革命物語なんだけど・・・
伊尹、当時はまだ名前なんか無かったんだけど。
なにしろ生まれてすぐに洪水に遭い、そのことを予言されていた母親は桑の木まで伊尹を連れて逃げた。
が、振り向いてはいけないという言葉を守りきれず振り向いた母親は洪水に巻き込まれる。
そして伊尹は桑の木のうろに抱かれたまま流された・・・
当時の中国では桑は多大な恩恵を与えてくれる聖なる樹。
その中から拾い上げられた彼は神の子として育てられる。
それから色々と苦労する。うん。




『天空の舟 小説・伊尹伝 下』
宮城谷昌光 文春文庫


読始8/28 読了8/31

コメント・・・
伊尹という名前を付けられるのはずいぶん後のほう。
それまでは授けられたものという意味の「摯」と呼ばれていた。
なりゆきで夏王朝に使えることになるが、王子桀に嫌われ隠遁する。
この時代、単独で生きるということはものすごいことであった。
暦というものを個人が持っていない。現在のように誰でも春夏秋冬がいつ来るかということを知っているわけではないという、正直信じがたい時代。
だからこそ種をいつ撒いて、いつ収穫したら良いかを個人で知り得る摯はすごいのだ。
そんな彼が夏に対する反乱者として嫌っていた商の湯王に三顧の礼(孔明よりも先)を受けて以来人格を見直すことになり、商の臣として夏と戦うことを決意。
ぬるま湯に漬かって、贅沢三昧、自分の欲を満足させる汚吏貪官ばかりの夏王朝は必死の抵抗もむなしく、散る。
伊尹。常に弱いものを見捨てきれずにかばってしまう癖のある優しい男は、中国初の革命を手伝ったのであった。
なお、この商王朝最後の王が紂王。
彼が討たれる話が、幻想伝記『封神演義』である。
封神より古い話なのに仙人とか妖術とか出てこない天空の舟(笑)
なんか不思議だ。




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