十月前期

『いつか、ふたりは二匹』『牧歌の国の魔法戦士』『幽王伝』
『スレイヤーズすぺしゃる,7』『おれは清海入道』『死ぬことと見つけたり(上)』
『死ぬことと見つけたり(下)』


『いつか、ふたりは二匹』
西澤保彦 講談社ミステリーランド


読始10/3 読了10/4

コメント・・・
ミステリーランド、ハードカバーで絵本っぽい独特の挿絵があり、文字もかなり大きめに書いてある、なんというか・・・素人向け?
そして、読者層に合わせて(?)主人公は小学生。しかも睡眠中に動物に乗り移れる体質(笑)
美猫のジェニファの体を借りて連続少女XX事件に立ち向かう、かも。
まぁ、子供向けと言う角度にしては微妙に性格の捻じ曲がりかけたキャラが登場するわけだが。
ほどほどに面白かったかな。




魔法戦士リウイ ファーラムの剣
牧歌の国の魔法戦士』
水野良 富士見ファンタジア文庫


読始10/4 読了10/5

コメント・・・
ロードスから何事もなく帰国することに成功したリウイ。
今度は草原地帯にあるはずの魔法剣を探しにいく。
剣と、それを振るう者を何百年も守り続けてきた山岳民族。
そのそばにある草原の連合国の政略闘争。
湿原から領地を広げようとするトカゲ人。
ようするにいつものようにトラブルに巻き込まれるのがリウイってわけだ(笑)
まぁ、ほどほどに面白いか。
今回のヒロインは一生懸命な巫女でリウイに惚れたりしないからね(爆)




『幽王伝』
菊地秀行 ハルキノベルス


読始10/5 読了10/6

コメント・・・
仏陀蒼介。剣の道を極めるべく武者修行の旅の途中。
辿り着いた東雲藩にて魔剣冥府流の使い手に出会い、手合わせを望む・・・
とりあえず、磊落な主人公は好意が持てるけど、微妙に正体不明だな。
同じ正体不明でも、それが脇役なら面白い。
死者をも操る謎の薬売り兼口入れ屋。蒼介に付きまとうが・・・
殺され、海に沈められた妖艶な女房。なぜか生き返って冥府流に仇をなす。
そんなオカルト系剣豪小説。
もう少し蒼介の正体が分かれば面白くなるかな。




『スレイヤーズすぺしゃる,7
がんばれ死霊術士ネクロマンサー
神坂一 富士見ファンタジア文庫


読始10/6 読了10/8

コメント・・・
胸の無い無敵魔道師リナ・インバースが大暴れするドタバタ放浪記。
それなりに面白いけど、さすがに初見の面白さがあるわけじゃないわな。
むしろ、第一話のレイ・ウイングで陸地まで飛べないという設定に疑問すら覚える。
タイトルにもなってる死霊術士の話はイイけどね。
ちょっと小粋でアドリブの効くゾンビって(笑)




『おれは清海入道』
東郷隆 集英社


読始10/9 読了10/11

コメント・・・
真田十勇士として有名な清海入道を主人公とした物語。
別の本のアオリに抱腹絶倒と書いてあったけどそういう角度での面白さは無い。
っていうか、マジカルランドといい、いっつも抱腹絶倒に引っかかるな(爆)
しかし、まぁ、拳豪伝的な、怪力僧侶モノとしての楽しさは十分。
清海が真田十勇士になる前の話である。
宮本武蔵と争ったり、岩見重太郎と争ったり、租税を七割も取る高野聖と争ったりw
話の中で少しずつ十勇士も出てくる。
名前は後付なので登場時は気づきにくいのがニクイかも(笑)
とりあえず、満足かな。




『死ぬことと見つけたり 上巻』
隆慶一郎 新潮文庫


読始10/11 読了10/14

コメント・・・
読むべきかどうか、悩んだ。
未完の作なんだよね。
しかし、まぁ、手に取ってしまった以上読むしかあるまい。
まずは作者の話から始まる。
戦争に持っていった本、葉隠が自分には最高のエンターテインメントとして楽しめたと。
そして作り上げたのだ。面白い葉隠を。
斉藤杢之介の朝は死で始まる。
目が覚める度に、様々な死をリアルに想像し・・・見事に死ぬ。
すなわち彼は死人である。死人であるがゆえに死を恐れず、真っ直ぐに、侍として生きることが出来る。
そして彼の友人である中野求馬、牛島萬右衛門らも死人である。
佐賀鍋島藩はまさに死人の巣窟(笑)
三つの支藩に四親族というややこしい構成の鍋島藩には火種が常に転がっている。
しかも老中松平伊豆守も鍋島藩に因縁をつけたがっている。
そんな中を平気な面で歩き回る死人侍。
何がどうなるのか、読んでいてたまらない。
とてつもなく面白くなりそうだ。




『死ぬことと見つけたり 下巻』
隆慶一郎 新潮文庫


読始10/14 読了10/16

コメント・・・
そして、とてつもなく面白かった。
杢之介、萬右衛門、求馬。すでに死んでいる彼らは死を恐れることは無い。
いくさ人としていつでも死ぬ覚悟の出来ている杢之介、萬右衛門。
殿に苦言を呈していつでも腹を切る準備のある求馬。
微妙に角度は違うが心は一つ。
佐賀鍋島を守るために、たとえ幕府を敵に回しても戦い抜く。
しかし・・・
最後の締めくくりを書く前に作者は亡くなった・・・
あとがき解説に最後までのプロットが載せられているだけに『あと少し』が惜しい。
それでも名作。超おすすめ。




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