五月前期

『お父さんの会社』『聖アウスラ修道院の惨劇』『封仙娘娘追宝録 奮闘編,3』
『八ケ嶽の魔神』『拳侠 黄飛鴻』『長安殺人賦』

『お父さんの会社』
草上仁 ハヤカワ文庫JA


読始5/3 読了5/4

コメント・・・
久しぶりに、草上仁。図書館の表に並んでいるラストの本だ(後は書庫に3,4冊あるっぽい)
そして、初めての、長編。
で・・・
すっっっっっごく面白かったです。
ストーリーは、サラリーマンが会社で働いた後、家に帰ってまでもオンラインゲーム「会社クエスト」の中で出世のためにあくせく働くという大変な世界。
だが、ある日・・・
ゲームの中で作成したアイデアが現実世界で利用されていたことを知ったとき、彼らは!!
現実世界の会社・ゲームの中の会社・家庭生活・・・
三つの居場所の中のさまざまな立場。
社会悪をあばこうとしているのに、家に帰れば妻のヒステリーが待ってたり。
そんなこんなで盛り上がりまくり。
お約束すぎて気恥ずかしくなって読み止ったことも何度かあるが(爆)
しかし、何よりもすごいのはこの本の書かれたのが1993年だということ。
せいぜいがスーパーファミコンの時代に、こんなリアルにオンラインゲームを小説に登場させるとは・・・
今、現実世界に存在するオンラインゲームよりほんの少し未来的です。
時代はどんどんSFの世界に突入しつつあるのだな・・・




『聖アウスラ修道院の惨劇』
二階堂黎人 講談社文庫


読始5/5 読了5/10

コメント・・・
ゴールデンウィークだから少々厚めの本を・・・と思ったのだが、なにもソコまですること無かったな(爆)
ずっしりみっしりして読み応えのありすぎる、二階堂蘭子シリーズ第三弾。
修道院で起こった謎の転落死。表向きには自殺として処理されたその事件の真実を掴むため、修道院から直接蘭子に調査以来が来るのであった・・・
いちいち現場の密室状況や、暗号文など必要そうな資料は全て見せてくれる親切設計(笑)
しかし・・・オープニングは「うげぇ」なスプラッタシーンなので苦手な人は読み飛ばしたほうがいいでしょう。
いや、マヂで。この人の書く殺人シーンはメチャクチャグロイです。
推理の展開もよく、オチも良し。
非常に優秀な作品といえよう。
優秀すぎて最近のブっ飛び推理モノと比べてなにか物足りない感じはあるが、それぁ贅沢ってもんだね。




『封仙娘娘追宝録 奮闘編,3 名誉を越えた戦い』
ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫


読始5/11 読了5/11

コメント・・・
面白!
まいどワンパターンですまないが、長編よりも軽〜いノリの短編集である奮闘編のほうが好き。
程よくヒネられたストーリーもgood!!
笑いあり、オチありのダブルインパクト。
キャラクターのイラストの幼児化で男性ウケが厳しくなったと思ったか、今回は女の子に人気が出そうな青少年「帰書文」を登場させてきた(笑)
あ、すごくキャラ立ってるよ、コイツ(爆)




『八ケ嶽の魔神』
国枝史郎 講談社大衆文学館


読始5/11 読了5/13

コメント・・・
シブ! まさか、ここで国枝史郎が来るとは誰も予想しなかっただろう(爆)
古い作品だから、よほど堅苦しいかと思ったら、ぜんぜんそんなことは無い。
まぁ、なんせ「伝奇」って書かれているだけに、読みやすさ重視なのかな。
後に八ケ嶽の魔神となる一人の若者の数奇な運命。
菊地秀行や山田風太郎でも読んだ事の無いネタが炸裂する。
そして、朝松健も真似したかと思われる、ディープなこだわり剣劇描写。
ラスに作者が出てくるあたりは秋山完の作風のモトネタかとも思われる。
なんせ、すでにこの時代に「なるほど」を「なるー」と表記してるんだもん。驚いたさ(爆)




『拳侠 黄飛鴻 日本篇』
東城太郎 C☆ノベルス


読始5/13 読了5/14

コメント・・・
黄飛鴻・・・実在した拳士。中国じゃあ映画も何本か作られてるでしょ。
彼は、友となった孫文の護衛のため、そして行方不明になった婚約者を探すために横浜に渡る。
だが、そこで襲い来る数々の敵。空手家・忍者・横綱。そして、清朝の刺客。
スピーディーワンダーな戦闘シーン。
ただ、欠点が一つ。
ほとんどの技が「技名・型名」だけで表記されているためソレがどのような動きなのか、専門家で無いと分からないのだよ(爆)
例えば朝松健みたいに、「左剣を前に出し、右剣を引いて、右足を蹴り上げた。そのまま右足を左前に下ろし、左剣を横に固定。右剣を後ろから上へ流して、ピタッと型を決める。中拳腿持剣(白蛇舌を吐く)の型だった」
みたいに、アクションを書いてから型名表記って芸のほうがわかりやすくていい。クドイけどね(笑)
それでもまぁ、平均点オーバーの面白い作品でござった。




『長安殺人賦』
伴野朗 ニチブンノベルス


読始5/14 読了5/16

コメント・・・
玄宗皇帝の治世。唐王朝を揺るがす大事件に、詩仙李白と阿部仲麻呂のコンビが挑む!!
すげぇよ・・・すげぇ背景だよ(笑)
しかし、まぁソレっぽい雰囲気はあるものの、ミステリと言うほどの謎も無く、なんとなくストーリーは進んでいく。
サスペンスドラマ風。って言うのかね。
ドキドキ感はある。
さらに加えて、ムカツキ宦官・高力士によるインケン政治術。
暗殺者と少林寺拳法家のスピード感あふれるバトル。
いろんな味わいの詰まった美味しい作品ではあるのだ。




トップに戻りたい
リストに戻る
欄外 ゲームの伝道


サターンの名作推理アドベンチャー、クロス探偵物語をプレイする。
・・・
最後の最後で行き詰まってめんどくさくなってネットで情報探し(泣)
犯人を指摘するだけの情報はあっても、先に進めないもどかしさがつらいのね。
非常に面白かった。
プレステ版もあるけど、こちらはサターン版とは少々謎が変化しているらしい。
&後から発売されただけにオマケが充実?