十二月後期

『ゲド戦記 最後の書』『風来鬼』『腹切り同心』
『戊辰算学戦記』『楚留香(上)』『楚留香(中)』

『ゲド戦記,最後の書 帰還』
アーシュラ・K・ル=グウィン 清水真砂子:訳 岩波書店


読始12/16 読了12/18

コメント・・・
テンションは限り無く低い。
二巻で伝説の腕輪を修復したテナーもオバサンとなり、細々と後家暮らしをしていた。
そんなある日、ゲドの力を見出したオジオンがテナーを呼び出し、老衰で亡くなる。
その数日後、竜に乗って帰ってきたゲドは意識も無くボロ雑巾のような状態だった。
魔力を使い果たしボロボロのジジイに成り下がった大賢人はできることがなくなったためか、怯え続ける。
この話の本筋はテナーの子育て日記のようなもので面白くもなんとも無い(爆)
もっとも、子供のテルーはテナーの実の子ではなく、親のような連中に強姦され火の中に投げ込まれて死にかけた不幸な幼女だ、というショッキングな背景はありますが。
まぁ、その程度。




『風来鬼』
菊地秀行 文芸ポストノベルス


読始12/19 読了12/22

コメント・・・
青森の寒村に、行方知れずだった人妻が戻った時事件が始まる。
沼の中の古代遺跡を開くために改造(笑)されていた厚子。彼女を助けるためにインターネットで呼び出された護衛「砦」は超古代武術ジルガの使い手。
さらに遺跡を狙う謎の妖術僧小龍とその護衛麻我鬼。遺跡に近づくもの全てを処分する護衛・・・
なんか、護衛だらけだな(笑)
彼らがそれぞれの思惑に従い、合い争う。
まぁ、良くある菊地秀行モノ。普通レベルの面白さ。
裏表紙に書かれてある、「あふれるエロティシズム」はまぁまぁ。「究極の恐怖」は大嘘。いや、ある意味、遺跡の正体は恐ろしいけど、究極の恐怖からは程遠いですわいなぁ。




『幽剣抄 腹切り同心』
菊地秀行 角川書店


読始12/22 読了12/25

コメント・・・
近頃お気に入りの幽剣抄シリーズ。
時代劇に幽霊がここまで似合うというのは、当然のような気もするし、不思議な気もする。
短編集なだけに当たりハズレはあるが、とりあえず表題作の『腹切り同心』がユーモア要素も込みでイチバンだな。
常々「何かあったら腹を切る」と広言していた大熊五郎太。
だが、今回やらかしたとんでもないミスに本当に腹を切り・・・
今回、唯一ニヤニヤしながら読んだ話だ(笑)
とりあえず、お薦め。




『戊辰算学戦記』
金重明 朝日新聞社


読始12/25 読了12/

コメント・・・
時は幕末。というか、薩長同盟が西軍と呼ばれ、幕府を倒し会津越後に攻め込む戊辰戦争。
西軍に立ち向かう幕府派、あるいは反薩長派は東軍として徹底抗戦の姿勢を見せていた。
そんな東軍の一隊長、結城勘兵衛。フランスの学者に習い、激しく数学者。
彼が駐屯地で見つけた算額。西洋数学とはまた全然角度の違う数学に触れ感動する。
無意味ともいえる戦争の指揮をとりながら、頭の中に数学の問題を飼う。
また、勘兵衛と出合った百姓和算家の竹蔵じいさんも、勘兵衛に教えられた西洋数学の方程式に感動して涙を流し酒を浴びる。
そんな感じの熱い、燃える話。
そう言えば戊辰戦争で東軍の中心的人物になった河井継之助。
彼について、司馬遼太郎の『峠』で知っていたのも、この本を楽しめた重要な要因の一つだな。




『楚留香 蝙蝠伝奇(上)』
古龍 土屋文子:訳 小学館文庫


読始12/26 読了12/

コメント・・・
ソルカ、ではなく「そりゅうこう」と読む。
現場に鬱金花の香りを残して去る盗賊。
・・・なのだが・・・今回はそのようなエピソードは無し(爆)
楚留香のいくつかある話の一つがコレで、現在この蝙蝠伝奇以外の作品は邦訳されていない模様。
さて、上巻は謎の病に倒れた娘の中に別の娘の魂が入り込んで復活した、というお話。
その娘の名は、左明珠。楚留香の友人で大侠である左軽侯の娘である。
そして、彼女に乗り移ったのは左家の120年の敵である薛家と繋がりのある施因の魂。
一体何がどうなっているのか?楚留香は左家と薛家の間を走りまわる!!
古龍にしては珍しく、死者は全然出ない。
主人公楚留香は神技的盗賊であると同時に、殺しをしない男でもあるからだね。
なお、上巻ということになってるけど一応コレはこれで完結してます。
と、いうのも文庫としてのタイトルは蝙蝠伝奇だけど、この話はソレとは別の、借死還魂というストーリーであるからして・・・
ま、気楽に読める一冊ということで。




『楚留香 蝙蝠伝奇(中)』
古龍 土屋文子:訳 小学館文庫


読始12/31 読了1/3

コメント・・・
さて、楚留香の友達が登場。
大酒飲みで馬鹿力の胡鉄花。真珠が大好きで盗むことすら厭わない(ダメじゃん)漁師の張三。
だが、楚留香を知るものにとっての最重要キャラ(?)である、手下の3人娘とやらが出て来ない。困ったものである。まぁ、偉そうにそういう拙者は彼女らがどんなキャラなのか知らないのだが(爆)
それはともかく、今回のお話。
いつもの通り、ちょっとした事件がわらしべ長者のようにどんどん膨れ上がってとんでもない大事件に巻き込まれる事になる。
展開が速すぎてこれより細かく説明するとキリがなくなってしまう(笑)
逃げ場の無い船の上で起きる連続殺人。犯人は誰だ!?




トップに戻りたい
リストに戻る
欄外 ゲームの伝道


年末に登場した二つの格闘ゲーム。
KOF2003,ギルティギアイスカ。
どちらも今ひとつだ(爆)