一月前期

『楚留香(下)』『陸小鳳伝奇』『編笠十兵衛(上)』
『編笠十兵衛(下)』『エンブリオ浸蝕』『デルフィニア戦記,9』
『燃えよ!刑務所』


『楚留香 蝙蝠伝奇(下)』
古龍 土屋文子:訳 小学館文庫


読始1/4 読了1/5

コメント・・・
恐るべき蝙蝠島たどり着いた面々。閑散とした岩だらけの小島で何も見当たらない。
いやいやいや、コウモリが潜むのは洞窟だ。
ってなわけで、究極絶対恐怖の洞窟に侵入する楚留香一行。
一筋の光も入らない洞窟で待ち受ける蝙蝠公子の罠。
とりあえず・・・楚留香は活躍するものの、話の中央にいたのは胡鉄花だったような気がする。
一応むさくるしい胡鉄花にも、にらみ合う二人のヒロインが登場しているし。
もっとも「どうして俺の周りにはこう牝虎の様に凶暴なのばかり・・・」とか言うほど達人かつ気の荒い娘なんだけど。
その辺のデンジャーさも含めて、立ち位置が主人公っぽいし。
まぁ、ボスの正体が丸分かりなこと以外は楽しめた。
特にラスト寸前の高速殺し合い。さすがは古龍、って感じだね(爆)




『陸小鳳伝奇』
古龍 安部敦子:訳 小学館文庫


読始1/5 読了1/7

コメント・・・
まぁ、せっかくの設定も日本人が相手ではわかりにくい。
小鳳、というのは中国では、まず、女性につけられる名前だというのだ。
まさか、Zガンダムの影響を受けたわけでもあるまいに(笑)
ともかく、そんな女らしい名前をつけられた彼は、立派な遊侠児である。
遊侠児というのも良くわからないが、まぁ、チンピラ系遊び人と紙一重といったところか(爆)
通称「四本眉毛」鼻の下の八の字ヒゲが眉毛に見えるらしい。少なくとも眉をひそめるとヒゲもひそまるようである。
そんな彼の男気を頼ってきた者がいた。
今は無き金鵬王朝の皇帝が、宝物を奪った旧臣3人に謝罪させたい、と。
盗んだ金で大物になった彼らに頭を下げさせれば一応満足だ、と。
しかし、彼らにしてみれば謝罪してしまえばいままでの信頼と実績を丸ごと失うことになる。江湖に広めた名前の価値が180゚反転してしまう!
ってなワケで全力で抵抗してくる。
陸小鳳は盲目の天才拳士花満楼と、冷酷な人斬り剣士西門吹雪とともに、謝罪を要求する戦いに向かう(笑)
やっぱりミステリ仕立ての熱いバトル。たった一冊で終わるのが残念だ。




『編笠十兵衛(上)』
池波正太郎 新潮文庫


読始1/7 読了1/9

コメント・・・
特殊な・・・というほど大げさなものではないが、編笠をかぶった侍、十兵衛の話である。
有名な柳生十兵衛ではない。
一応、彼の孫にあたる存在と設定されている。名は月森十兵衛。
時は将軍綱吉の頃。綱吉と言えば生類憐みの令で有名な馬鹿殿だが、もうひとつの永遠に語り継がれるであろう歴史が「吉良上野介に切りかかった浅野内匠頭に切腹を命じた」話である。
と、いうことで忠臣蔵を背骨にした話になるようだ。
十兵衛の仕事は公儀隠密として、政道の間違いを正すこと。
今回の片手落ちの綱吉の横暴をいかにして正すか・・・
こりゃあ大変だ。




『編笠十兵衛(下)』
池波正太郎 新潮文庫


読始1/9 読了1/13

コメント・・・
そんなわけで、赤穂浪士・吉良どちらの味方でもなく、あえて言うなら気分屋のアホ将軍綱吉が十兵衛の敵か?
まぁ、心情的には一方的に切腹させられた浅野の家臣側に傾くのが侍として当然だし、喧嘩両成敗のご政道を実践するには、赤穂浪士に吉良を討たせ、その上で赤穂浪士らに切腹申し付ける以外に手が無い。
それに協力するように、吉良の隠居届を受け取ったり郊外に住居を移させたりするものの、大石内蔵助はいつまでたっても仇討ちする気配が無い。
この小説ではノンビリの理由を明確にはしていないけど「本気で浅野家の再興を希望していた」ということになるのかな?
仇討ち自体は細かく描写されない。それは赤穂浪士の仕事であり、十兵衛のなすべきことではないから。
とりあえず・・・コレも武侠小説に近いかな?
日本が舞台では基本的に主人公が侍=官であるから武侠小説になりえないと思っていたけど、この十兵衛のように将軍の間違いを正す立場にいれば、侠を貫けそうだ。うん。




『ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕』
上遠野浩平 電撃文庫


読始1/13 読了1/14

コメント・・・
エンブリオとは胚である。
そして何が生まれてくるかわからない胚は無限の可能性がある。
統和機構の裏切り者サイドワインダーが持ち出した物『エンブリオ』は人の持つ可能性を開放するきっかけを作るモノだった。
例えるなら・・・ジョジョの「エンヤ婆の矢」みたいなモンだな・・・
コレを回収するために統和機構が出動させたのが「最強」と呼ばれる男、フォルテッシモ。
統和機構にささやかな反乱を起こしているダイヤモンズ。
そして偶然エンブリオを手に入れてしまい、サムライの力に目覚めかけている高代亨。生命を掴む能力に目覚めかけている穂波顕子。
これに、当然、死神ブギーポップも関わっての大乱戦・・・になる予定の前半。




『デルフィニア戦記,9 動乱の序章』
茅田砂胡 C☆ノベルス


読始1/14 読了1/15

コメント・・・
動乱を起こそうとしているのは、デルフィニアだったりする。
パラスト・タンガという強めの二国に挟まれた豊穣の地デルフィニア。
いつ攻められるか分からないでいるよりは、ということでとりあえず血の気の多いタンガの王に自国の銀山情報を流す。これで相手が動いたところを潰す。
ところが、何者かの策略によってパラスト・タンガの挟み撃ちが始まった上に、裏切り者まで登場する。
ゆったり休暇の後の大ピンチ。こりゃあ、大変だ。




『燃えよ!刑務所』
戸梶圭太 双葉社


読始1/15 読了1/17

コメント・・・
安っぽい犯罪者が増えに増えて、刑務所は満杯。収容率が120%を超えた!
そこで警察OBの花菱城一郎が打ち出したのが民営の刑務所。
クソ犯罪者に更生の余地なんかありゃしない。無給の労働力として使いつぶしてやる、くらいの勢いで。
ま、その辺のアイデアは最高なんだけど。
ただ、民営刑務所が発動するまでが長すぎる。登場人物のキャラが立つのはいいんだけど。
そこまでにページを使いすぎたからか、どうも本編というべき第二部が物足りない。
結局は囚人プロレスと刑務所アクション映画を作った程度か。
悪人に人権は無い、という理論には激しく同意したいので、民営刑務所にはもっともっと頑張って欲しかった。
実は、それ以外にも不満点はある。
挿絵の擬人猫ってどういうギャグなんだ?
戸梶はコレに親指を立ててOKを出したのか?謎過ぎる。
ついでに、タイトルが原題の「俺の神と踊れ!」だったら読まなかっただろうな。
そのときは多分「牛乳アンタッチャプル」を読んだであろう(笑)
つまらないってことはないんだけど、ハジケ方が望んでいた形とは違ったということで。




トップに戻りたい
リストに戻る
欄外 ゲームの伝道


1/1 サルの出てくるゲームということでマヴカプ2をプレイクリア。