hideさんの書評
HPはこちら Dr.Jekyll and Mr.hide


『百鬼夜行−陰−』 京極夏彦(講談社)
笑い0.5点 涙2.5点 恐怖4点 総合4点
 「小袖の手」「文車妖妃」「目目連」「鬼一口」「煙々羅」「倩兮女」「火間虫入道」「襟立衣」「毛倡妓」「川赤子」の計10作からなる短編集。
 「目目連」:平野祐吉の妻が自殺した。それ以来、彼は常に誰かに視られているという感じがしていた。 そして、ある日、背筋に冷たい視線を感じ、振り向いてみた。すると、そこにある障子の破れ目から、 目玉が一つ彼を覗いていた。
 「川赤子」:うつ病気味の小説家・関口は、気晴らしにと、河原に足を運んだ。 別になにがあるわけでもないのだが、急に「水に触れたい」という衝動に駆られ、水辺まで近づいて行った。 そして、指先を川につけてみた。すると、何とも気味の悪いモノが、指に触れた感触が指に残った。その不快感と、 彼の記憶が交錯しはじめる。

 95年から「小説現代」に連載されていた9つの話に、「川赤子」という書き下ろしを加えた1冊だ。 僕は、「目目連」以外は、初めて読む作品なので、僕にとっては、久しぶりの京極氏の新刊なのだ。
 今回は、「姑獲鳥」から「塗仏」までに事件の被害者・加害者等を主人公とし、彼らの背景を描いたモノだ。 ただし、京極堂や榎さんは登場しないので、憑き物落としはなされない。さらに、京極堂がいないので、難しいうんちくがない。 しかし、所々「恐怖とは?」「鬼とは?」「煙とは?」などについて細かな言及がなされている。
 それにしても、相変わらず京極氏は、うまい。まあ、僕にはそんな偉そうなこと言う資格はないが・・・。 脇役といってもいい人たちの背後にストーリーを持たせ、さらに、それがうまい具合に、妖怪に絡んでいる。


麻弥さんの書評
HPはこちら Books by 麻弥


●「百鬼夜行 陰」京極夏彦[講談社ノベルズ](99/7/19)

京極堂のシリーズの番外編(?)となる短編集。シリーズ長編の脇役たちが「現実」から「異界」に足を踏み入れてしまい、彼岸にいってしまった話です。長編シリーズの裏エピソードとなっています。
被害者同士の意外な結びつきがわかって「お?」となった話もあれば、「…誰だっけ、これ?」なのもありました。あとで京極関係のファンページでどこの登場人物だったか確認しておかなきゃ。
これらは雑誌で掲載されていた話がほとんどですが、書き下ろしとなる十本目の話は、関くんの話で、しかも「姑獲鳥の夏」のプロローグともなる話です。
私にとって怖かったのは「目目連」かな。あとは「毛倡妓」のなかの「くう。」にはゾワッとしました。擬音の使い方がうまいよなあ。
全体的には、今回の話はそれほど怖くはないです。読んで残るのは、「厭」な感じ。それが自分の中の「現実」にささった刺のように、奇妙な疼きがあるような話で。憑き物が落ちてないから、気持ち悪いんですよー。京極堂の存在のありがたさというのを実感しますねぇ。
この短編集は、京極夏彦に興味があるけど長編は…の人がとりあえず「短編から読む」という形で読むのには向いてないなあ、と思います。そういうのには、次作刊行予定の「百器徒然袋 −雨−」の方がいいかも。これは「鳴釜」や「瓶長」の榎さんのシリーズで、すごく愉快な話なんで、刊行が楽しみなんです。


みはるさんの書評
HPはこちら みはるの小部屋


99/7/17 「百鬼夜行 陰」 京極夏彦(講談社ノベルス)

シリーズの今までの登場人物を主人公にした話なのだが、この人、どこで出て来たっけ、これは背景にどんなことがあったのだっけ、とそれが気になって、いろいろ読み返してしまった。それでも、多分忘れている、見落としているところもあるだろう。京極氏は、言葉の使い方がうまくて、なんだか嫌ーなかんじ、とか気持ちの悪いかんじが全編を貫いている。この季節に読む怪談としてもいい。近々小説のページにアップしたい。それにしても、最後の書き下ろしは、ファンにとってうれしい。


Quanさんの書評
HPはこちら Quanの乱読趣味の砦


「百鬼夜行 陰」(講談社ノベルス)京極夏彦

いわゆる京極堂シリーズの、外伝を集めた短編集。
 まあ、京極堂シリーズのファンになら楽しめるであろう内容。それ以外の人にはちんぷんかんぷんだな、これは。
 というか鈴木敬太郎って誰?(笑)ううん、夏休みを利用してシリーズの再読をするかなあ。
評価☆☆☆☆
セツナさんの書評
HPはこちら 一瞬の憶念



「百鬼夜行−陰」
京極夏彦 講談社ノベルス
1999年10月2日

ストーリー
 「京極堂シリーズ」関連短編集。今までに出てきた人物の生い立ちに焦点を当てた妖怪小説。レギュラー出演している人物の話は、関口巽の第十夜「川赤子」のみ。


感想
 正直いって、最初はこの本読破できるかな?と思った。「姑獲鳥の夏」を読んでから、もう4年も経つ。そのときの登場人物の話をされても覚えていない。まだ読んでいない人は、読んでからすぐに、その登場人物の話を読んだほうが良いかもしれません。しかし、そこは流石京極夏彦。 第六夜の「倩兮女」からは登場人物を忘れていても楽しめた。やはり京極夏彦でも成長しているんですね。

戻る