hideさんの書評
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『七回死んだ男』 西澤保彦(講談社ノベルス)
笑い★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 恐怖★☆☆☆☆ 総合★★★★☆
 特異な体質の持ち主・大庭久太郎。その体質とは、「1ヶ月に3〜4回ほど”時間の反復落とし穴”に落ちる、つまり彼だけが同じ日を何度も繰り返す」というものなのだ。そしてお正月早々、彼はその落とし穴には落ちてしまった。しかも、祖父の零治郎が殺されるというオマケ付で・・・。 この殺人を防ぐべく、一人で9回同じ日を過ごせる久太郎が、孤軍奮闘する。

 設定が凄すぎる。果たしてこれは、なんというジャンルなのか?SFミステリとでもいうのか。宮部みゆきがよく使う超能力者の話は、「こういう人もいるかも」という気になるが、これは、現実離れしすぎている気がする。でも、破綻することなく、うまく最後までいくから凄い。でも、その同じことが繰り返されるという設定のために、 途中で、次の予測がついたり、飽きてしまうところが多少ある。読む人によって、評価が異なる作品だろう。それと、読んでいて一つ気が付いたことがある。 それは、「読点【、】がほとんど使われてない」ということだ。普通なら読点【、】を使うところも、句点【。】を使っている。気にしなければなんともないが、気にし出すと止まらない。なぜ作者は、読点を使わないのか。ただの拘りかなぁ。誰か知っていたら教えて欲しい。



セツナさんの書評
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「七回死んだ男」
西澤保彦 講談社ノベルス

2000年3月6日
ストーリー
月に何度か同じ日が9回も繰り返されてしまう「時間の落とし穴」にはまる大庭久太郎。祖父の家を訪ね「時間の落とし穴」にはまってしまったとき、事件は起こった。祖父である淵上零治郎が殺害されたのだ――。繰り返される時間の中で久太郎はあらゆる手を尽し祖父を助けようと奮闘を始める。
感想
時間の反復良い所に目を付けましたね。同じ日付が9日繰り返される、というSF的設定が見事に生きています。パズルの様に謎が型に収まっていく謎解きも綺麗で爽快です。

ネタバレ感想
何度繰り返しても死んでしまう、「7回死んだ男」こと淵上零治郎。毎回明かされていく人物関係が翌日の久太郎の行動を変え、事件は解決すると思っていっても新たな人物が零治郎を殺してしまう。どんなに久太郎が頑張っても毎回違う人物が零治郎を殺してしまう展開とても先が気になりました。そしてなんとしても助けなければならない8日、9日目からラストへ展開していく謎解きが良いですね。
特にラストを飾る久太郎と友里のデートシーンはなにかホッとするものを感じました。本性というか人の醜い面を第2周〜8周を通して見てしまっているだけに、幸せな2人の姿が事件の殺伐とした感を薄らげてくれました。
それと、空白の一日を埋める第3周目。まさかあそこで一日を費やしていたとは考え及びませんでした。



永田さんの書評
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七回死んだ男/西澤保彦

全くアットランダムに同じ一日を9回繰り返してしまう『特異体質』を持った高校生、久太郎が、殺されてしまった祖父を何とか生かそうとその体質を利用して孤軍奮闘するドタバタミステリ。
西澤保彦お得意の、一種の『超能力』ものです。その体質の説明がしっかりしていたので、あまり違和感なく読み進めることができました。それに内容そのものもかなり面白いものでしたし。
ただ、ずっと同じ毎日が繰り返され、そのなかで謎解きを行おうとするのでちょっと途中でだれるのは確かです。何度やってもやってもしつこく死ぬしこの爺さん(笑)。このあたりでちょっと、あれっとも思いましたが、それはそうとしてどんどん読み進めてしまいました。
そして最後で驚愕。あのラストは結構やられたあ〜と思いましたね。実際、途中までは、ただ殺人を阻止しようと小細工をしてまわっているだけだし、多分最後にはそれが成就するんだろうし、じゃあこれは別にミステリじゃあないんじゃないの?などと思ってもいましたが、まんまとやられました。まさか、そういった形での落とし方があったとは。友理さんとのことも、まさかああなるとはさっぱり思ってもいませんでしたし。
色々な意味で、驚ける作品でした。じいちゃんも結局は、結構可愛らしかったし。
しかし何だかんだでハッピーエンドにはなりましたが、西澤保彦のことだからもう一ひねりあるかな〜とどきどきしてました。この後、また妙な展開になるんではなかろうか、と…ちょっと続編も読んでみたい感じでしたね。
また事件の渦中で『体質』が出て、今度は友理さんに協力してもらいながら、とか。まあ友理さんにいちいち説明しなくちゃいけないのが面倒だけど。


Quanさんの書評

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七回死んだ男

論理展開、ラブコメ(?)、サスペンスに人間ドラマと文句無しに面白い。
評価☆☆☆☆☆
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