浅田弘幸さんの表紙と口絵ラストがとてもカッコよくて、つい購入してしまいました。
ホームズ贋作モノ。ただこの作品はミステリではなく、ホームズが若かった頃(大学出たて)の冒険談となります。本編でもホームズは柔術を取得していたこととなってますが、その部分を膨らませた話。元ボクサーの黒人・ガイとホームズの友情格闘青春小説でもあります。
作者がマンガ原作者として15年のキャリアを持つ人だけあって、話に澱みがなく、エンターティメントとして押さえるべき部分は押さえてありますから結構楽しめます。格闘シーンもなかなか。
私はシャーロキアンではないので、切り口がどうのこうの…とは言えないのですが、ここで描かれるホームズは強いだけでなくバイオリンの名手で、勇気もあり義にもあつい、文字通りの「いいヤツ」なんですが、あまりのスーパーマンゆえに個人的には物足りなさが残ります。大昔に読んだ、島田荘司のホームズと夏目漱石が出会うという話(タイトル忘れた…)のハタ迷惑なホームズぶりの方が私には好みだったなあ。