Quanさんの書評
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「ペパーミントの魔術師 ブギーポップミッシング」(電撃文庫)上遠野浩平

 相変わらず錯綜する世界である。
 他の話では、主役・ヒロインをはっていた人間が、ほんのチョイ役でしか出てこない。話は過去に未来にいったり来たり。当然前の話で死んだキャラがのうのうと顔を出し、意外なキャラが再登場。そういう、一種独特の雰囲気によって語られる幻想物語の七冊目である。
 時制的に見ると、未だ「寺月恭一郎」が生きている時から、最新の時制(例のキャラが料理学校に行っている)までの話。今までで一番期間が長いんじゃないかな。魔女を含めてこれまでのキャラは皆チョイ役で、一番多くでているのが宮下藤香というのは、う〜んどうだろう。新設定はそれ程でてきていないので、「パンドラ」の様な外伝的雰囲気が漂う。「寺月恭一郎」がどんなキャラだったかを知る上ではかなり重要なんだけれどもね。
 でも「ペパーミントの魔術師」それに「山で絵を描いていた男」、この二人には是非再登場して欲しいなあ。

「世界と戦える自信はあるかな?」
評価☆☆☆☆

麻弥さんの書評
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●「ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師」上遠野浩平[電撃文庫](99/8/7)

「ブギーポップ」シリーズ、待望の新作。
今度は、ひんやりと痛い、アイスクリームのお話。ブギーポップも見逃しかけてしまったほどの事件。
子供のように無邪気に、人のためにし続けてきたことが“世界を敵にまわしてしまった”、「失敗作」の“魔術師”。一途なだけに、彼の末路が切ないです。
ラストのイメージの物悲しさがなんとも。
今回は「ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター」の関係者が多数出演。懐かしい人に出会えてよかったです。
表紙や口絵のイラストも、いつもながら見事です。すばらしい。


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