麻弥さんの書評
HPはこちら Books by 麻弥


●「「クロック城」殺人事件」北山猛邦[講談社ノベルス]880円(02/03/14)

第何回になるかわかりませんが、メフィスト賞受賞作。帯の「本文208頁の真相を他人に喋らないでください。」というアオリと、中の袋とじに惹かれて購入。
1999年9月。世界の終末を静かに待っていた。5年前、巨大な太陽黒点の発生のため、地球上の電気機器がすべて狂い、そしてテロに戦争、政府も崩壊した。南深騎はそんな世界で探偵をしていた。彼には〔ゲシュタルトの欠片〕という幻がみえ、それを破壊することができる。雨の日に、彼の元にひとりの少女が助けを求めて訪れた。彼女は「クロック城」の住人で、そこに〔スキップマン〕という化け物が現れるという。南と助手(?)の菜美はクロック城を訪れたが、閉ざされた館で惨劇が起こり…
ティストとしてはスニーカーとか富士見とかあのあたりに近い空気があります。帯でかかれてた「トリック」も「ほう、なるほど」と思いましたが、それよりも「なぜ犯人は死体の首を切断したのか」の理由が独創的でおもしろかったです。個人的にはその一点だけで十分満足でした。
世界観の構築の甘さとか気になる部分はありますが、「静かな終末」が好きなライトノベル読みの人だったら読んでも損はないかと。


Quanさんの書評
HPはこちら Quanの乱読趣味の砦

「『クロック城』殺人事件」(講談社ノベルス)北山猛邦

 第24回メフィスト賞受賞作。
 えーと、登場人物全員が電波系ナルシストだって言うのは狙ってやってるんでしょうか……やってるんでしょうね(苦笑)。袋とじにする意味もあんまりないし、一目でトリックがわかるという意味では「斜め屋敷の犯罪」の亜流か?とも思う。ともかくも、たとえば他の作家だったらこの倍のページ数をかけてじっくり調理する素材を駆け足で味付けしているため、感情移入とかじっくり楽しむとかする暇もないくらい展開がはやい。作者の自己満足の域に読者をひっぱりこめていない感触を受ける。
 最後の結末も曖昧……どーも好きにはなれないなぁ。
評価☆☆+

戻る