五月後期

『ダーティ・プリンス,3』『チーズはどこへ消えた?』『大菩薩峠の要塞,1』
『忍術忠臣蔵外伝』『天龍八部,1』『奇跡審問官アーサー』
『新宿少年探偵団,5』『ダーティ・プリンス,4』『天龍八部,2』
『天龍八部,3』『天龍八部,4』『ダーティ・プリンス,5』
『天龍八部,5』『天龍八部,6』『天龍八部,7』


『ダーティ・プリンス,3 追想の光と影』
渡邊由自 ソノラマ文庫


読始5/16 読了5/16

コメント・・・
ついに始まるサンタ・バルバラvsリエン・ポー
圧倒的な戦力を持って攻め寄せるリエン・ポーに対してリーは色々と作戦を練るのだが・・・
ここら辺までワリといいテンポだったので油断していたのだが、作者は渡邊由自であった。
ひさびさの鬱展開は、リーの軍師役として長年働いてきたトロイが暗殺される。
最も信頼する部下を失って茫然自失のリー。
そんな彼の脳味噌をシャッキリさせるのは、女の魅力でも、敵の来襲でもなく、ライバルの活躍情報であった。
なかなか、面白い。まぁ、こんな大事なときに主人公がイジケてるんじゃねー!!という展開ではあったが。
それはそれでいい。




『チーズはどこへ消えた?』
スペンサー・ジョンソン 門田美鈴:訳 扶桑社


読始5/17 読了5/17

コメント・・・
ワリと有名な本。
脳内革命系、っていうのかね?
迷路の仲を彷徨いながらチーズを探す二匹のネズミスニッフ&スカリーと二人の小人ヘム&ホー
ようやく見つけたチーズの山。しかし、ある日そのチーズがなくなってしまったのだ(笑)
何のためらいもなく次のチーズを探しにいくネズミ。
消えたチーズを探してその場でモタモタ泣いたり怒ったりする小人。
まぁ、そんな感じで。チーズを自分の人生の大切なものと置き換えて、どうするべきか考えれ、と。
人は変化を恐れるものだけど、その変化を楽しめ、みたいな。
文章的には単純だけど要点だけをすっきり見せている辺りは巧いんじゃないかな。
まぁ、この本を読まなくても島本和彦のマンガを読めば前向きにスパークできると思うが・・・
うん。コレ読んで目が醒めた!とか言ってる人は目覚めるの遅いよ〜
いや、眠りっぱなしよりはマシだけど・・・



並列書評に飛ぶ
『大菩薩峠の要塞 一の巻 〔攻〕 江戸砲撃篇』
朝松健 富士見ファンタジア文庫


読始5/17 読了5/18

コメント・・・
大菩薩峠に蟄居させられた徳川家斉の40子、滝津姫は巨弾砲を作り江戸にケンカを売ることを決定した・・・
ま、そんな感じの時代物。
忍法が乱れ舞い、拳銃が炸裂する。
ついでに幕末オールスターズ(?)として、遠山の金さんや眠狂四郎だって出て来る。
作者的には、この時代に実在した科学力だけでどれだけトンデモに出来るかというところが味らしいが。
とりあえず、欠点があるとすれば江戸側のキャラに魅力が足りないことかな(笑)
対する滝津姫側には、おどろおどろしい滝津六鬼忍を頭に、巨弾砲設計製作担当の狂科学者である赤牛寺天佑斎やら弾道計算をそろばんで行う算術の天災、戸川塵斎。そして、天保射撃トーナメントで集められた全国の牢人銃士たち。
しかも、滝津姫の掲げるのが男女平等民主実力制とでもいうべきスローガンなのだから、将軍制にこだわる江戸組の方が悪く見えてしまう(笑)
そんな感じでなかなか面白いのだが・・・
残念ながら全三巻予定のうち二巻までしか出ていない(三巻の予定無し)のでお薦めは出来ない。




『忍術忠臣蔵外伝』
霧島那智 ジョイノベル


読始5/19 読了5/20

コメント・・・
まぁ、一部のギョーカイでは有名な作者だ。作品も多いから名前くらいは知ってる人も多かろう。
それはそれとして、この話は、赤穂浪士討ち入りの裏側を無理矢理塗り替えた架空戦記(笑)
生類憐みの令を出した五代将軍綱吉。
時代の都合で主筋でないのに将軍に納まった彼は、どうしても自分の血を引くものを後継ぎにしたかった。
よって、息子に将軍職が届くようにライバルを亡き者にしようと画策するのである。
狙われているのは甲府宰相の綱豊。
もう少し色々あるんだが、とりあえず、綱豊が自分のところに送られてくる刺客を減らすために、赤穂浪士に吉良上野介を討たせようと画策する。
綱吉としては、そんな幕府を舐めたようなマネをさせるわけにはいかず、綱豊に送り込む忍びを減らしても赤穂浪士の邪魔をしなければならないのであった。
まぁ、長々と書いてしまったが、設定はなかなかバカバカしくもあるが、魅力的だ。
が・・・
文章がなってないと言うか・・・
時々状況説明に現代を引き合いに出して来るんだが、時代物読んでるときにそんな興醒めする様なマネは止せよ、と言いたい。それだけならまだしも、天皇家お抱えの忍軍「八瀬童子」の説明に隆慶一郎や猪瀬直樹の作品をソースとして持ってきやがった。
ここで、バカ認定終了。もう別の作品にも手を出さないだろうな。
若菜等+kiの絵もなんか浮いてる。相性が悪いと言うか、まぁそんな感じ。
最高の土台になんだか歪んだ家を建てたような作品だ(笑)




『天龍八部 第一巻 剣仙伝説』
金庸 土屋文子:訳 徳間書店


読始5/20 読了5/21

コメント・・・
お も し ろ い
主人公の段誉くん。
腕は立たないが、まぁ口はそれなりに回る。無駄に正義感が強く、無駄に一言多い(笑)
で、相手を怒らせちゃったら、それこそヤケになって言いたいこと全部言って「さぁ殺すなら殺せ」って感じの直情径行無鉄砲。
こんな、どちらかというとアホの主人公がものすごい勢いで、次から次へとトラブルに巻き込まれる。
達人から下っ端まで次から次に敵を作る。伝説級だ(笑)
少々キャラが増えすぎる気がするが・・・まぁよし。
ものすごい速さで続きを読みたい。




『奇跡審問官アーサー 神の手の不可能殺人』
柄刀一 講談社ノベルス


読始5/21 読了5/24

コメント・・・
スピンアウト作品らしい。
スピンアウト? つまり、別の作品で大人気だった脇役が作品から飛び出して別作品の主役となる現象。
それだけに失敗しなければ、激しくイキのいい、元気な作品になる。
で、コレは勢いがあって面白い成功作。
アルゼンチンの小さな村に、十二使徒と呼ばれる人がいた。
何かの事故で教会が炎上したとき、全員がバラバラの理由でその日のミサに遅刻して無事だったという奇跡の下に付けられた呼び名である。
そんな彼らが次々と不可能状態で殺されていく・・・
十二使徒の奇跡が本物であるか、を確かめに来ていた奇跡審問官アーサー・クレメンスは、ついでと言ってはなんだが、この殺人事件の真相に挑む事になるのであった。
でも・・・ミステリとしては並み評価かな。
とりあえず、キリスト教の異端、グノーシス派の理論を理解できたのが収穫ではある。




『新宿少年探偵団,5 鴇色の仮面』
太田忠司 講談社ノベルス


読始5/24 読了5/26

コメント・・・
今回は二本立て。霧の恐怖、そして、鴇色の仮面。
霧。突然明かされる芦屋能満の正体。
そして・・・そして・・・通りすがりのバカチンピラに美香の必殺技が炸裂。
得意げに語る美香。
「ねぇねぇ羽柴君。わたしタマを蹴ったのよ!」
・・・
内股になりますた・・・
仮面。ここに来て阿倍刑事がほぼ仲間として認定されてきた。
自分の力を嫌っていた阿倍北斗もそろそろ開き直って式神を使い始める。
それでもせいぜいワキで防御役にしかなれないのだが・・・
今回は両方ともページ数にふさわしく(?)低レベルな敵であった。
まぁ、能満の弟子、おちこぼれツインとでも言うか(爆)




『ダーティ・プリンス,4 勝利者の航跡』
渡邊由自 ソノラマ文庫


読始5/26 読了5/26

コメント・・・
元リエン・ポーのジャーナリストであったブルガーコフはリーに命を助けられた借りを返すため、今までたいした出番もなくひたすらビックコアの戦略分析を行っていた(笑)
暗殺されたトロイの代わりになんとかリーの役に立とうと必死だったわけだ。
そして、データを実戦投入。そして・・・
と、いうわけで(?)実戦経験皆無の参謀がいたらどうなるかというシミュレーションかな。
ものすごい角度から邪推すれば、キャリア系のエリート自衛官が指揮官になったらどうよ、っていうツッコミなのかもしれない。
デジタルなデータは大事だけど、戦場はそれだけではない?
なんか、最終巻前にものすごく脇道にそれたかも(爆)
ストーリーとしては悪くないんだけどね。




『天龍八部 第二巻 王子受難』
金庸 土屋文子:訳 徳間書店


読始5/27 読了5/27

コメント・・・
大理国の王子、段誉の奇縁はまだまだ続く。
行く先々に好漢悪漢あらわれて、波乱万丈危機一髪。
前回、洞窟で偶然見つけた幻の歩法「凌波微歩」を手に入れただけでもラッキーなのに、今回は指先から気を放つ六脈神剣まで体得してしまう。
とはいえ、気を十分に扱えない段誉ではナントカに刃物のレベルなのだが・・・
そのまま六脈神剣の秘伝書代わりに誘拐され、暮容家につれてこられる。
そこで出合った美女、王語嫣は武林の生き字引。様々な秘伝書を読み、人の動きを見れば流派から出身地から苗字さえも当ててしまうというテレビチャンピオンクラスの物知り(爆)
そんな彼女に激しく惚れる段誉。
だが彼女は暮容家の党首、暮容復にラヴラヴでとりつくしまもなかったのであった・・・
今回もまぁ、色々と勉強になるネタもある。
つばきの花の名前とか、そのモトネタとか。
一番の盛り上がりは、黄眉和尚と悪貫満盈の囲碁勝負かな(笑)
左手で相手と気をぶつけ合い、右手から放つ気で岩盤に石を刻む。まさに達人バトル!
とにかく勢い重視の面白さなので次へ進む。




『天龍八部 第三巻 運命の激流』
金庸 土屋文子:訳 徳間書店


読始5/28 読了5/28

コメント・・・
王語嫣への愛が虚しく散りショボンヌな段誉はヤケ酒でも飲む事にした。
そんな彼が酒場で出あったのが主人公2とでもいうべき男、喬峯であった。
義兄弟の契りを結んだところでとりあえずラインチェンジと思っていいかな。
喬峯は、言うなれば乞食軍団のボス。幇主だったのだが・・・
実はその出身が宋の大敵である契丹の者である、という本人すら知らなかった秘密が暴かれたために段誉以上の波乱万丈にもみくちゃにされる。
比較的懐も広く、冷静で、侠気あふれる彼だが、何ものかの陰謀によって親殺しから師匠殺しの濡れ衣を着せられる。
そして、命を狙う者達に囲まれ・・・身に覚えのない容疑をダラダラグダグダと押し付けられ・・・ついにブチキレール。一対数百のバトルロイヤルだ!!
そして・・・
という感じで息もつかせぬ面白さ。
喬峯の、身の潔白を証明できないもどかしさもイイ!!
そんな喬峯の衝撃的なラストから次へ進む・・・




『天龍八部 第四巻 行路茫々』
金庸 土屋文子:訳 徳間書店


読始5/28 読了5/29

コメント・・・
ひょっとしたら裏主人公は段誉の父の段正淳かもしれない・・・
次から次に愛人と出会い、隠し子が現われるのだ(爆)
今度の隠し子はよりにもよって毒使いの邪宗、星宿派の上級弟子であった。
そんな阿紫は、育った場所が歪んだ星宿派だったとはいえ、とんでもない極道娘である。
人を殺すのは良くあること、むしろ、毒を使ってジワジワいたぶり殺す方が好きだとか、触るもの皆傷つけるくらいの勢いで。
無邪気な殺人姫とでも呼ぶべき阿紫と旅に出る事になる簫峯の苦労たるやいかに・・・
いや、思わぬ不意討ちにうっかり本気で反撃して殺しかけちゃうけど(爆)
とりあえず、一人の英雄が女に引っ掻き回される話かな。
恋と失恋。毒婦の陰謀。殺人姫の義妹の世話。うはwww大変すぎwwwwwwww




『ダーティ・プリンス,5 自由への賛歌』
渡邊由自 ソノラマ文庫


読始5/29 読了5/30

コメント・・・
ついに完結。
戦局はダラダラと続き、本当に終るのかと心配になるほどなのだが(笑)
そう。此処に来てにらめっこ。
そして、リーは相手の動きを牽制している間にものすごい勢いで外交行動を取っていた。
いかにして国を疲労させずに戦争を終らせるか・・・海賊だった頃は考えもしなかった作戦(笑)
だが、敵大統領ビックコアは実の父の、そしてトロイの仇。殺さずに入られない怒り。
様々な感情に苦悩しつつもリーは前へと進む。
まぁ、それなりに面白かったかな。




『天龍八部 第五巻 草原の王国』
金庸 土屋文子:訳 徳間書店


読始5/30 読了5/31

コメント・・・
簫峯は死にかけた義妹を救うため、人参を食べさせながら旅をする。
人参ってのはとうぜん滋養満点の朝鮮人参だろうね。
そんな高級薬草をいつでも入手できるわけなどなく・・・自ら山に突入する事になった。
そこに現われた二匹のトラと一人の狩人。
一緒にトラ退治をして意気投合する二人。狩人の正体は女真族の完顔阿骨打。
女真族は契丹と仲が悪いんだが、勇者を勇者と認める懐の深さは持っている。
彼らから大量の人参を貰いなんとか阿紫を回復させることが出来た簫峯が、次に出あったのは、同族の契丹人。
実は王だった耶律の者。簫峯と意気投合意気揚揚と城へ向かえば反乱の知らせ(笑)
義兄弟のために簫峯は必死で戦うわけだ。
正に英雄波乱万丈。
その頃、第三主人公、愚直な少林寺の小僧である虚竹も波乱万丈への第一歩を踏み出していた・・・
妖力の籠もった詰め碁とでも言うべき珍瓏。打ち手の心の弱さを飲み込み自殺にまで追い込む恐ろしい布陣。
偶然の盲打ちによってコレを解いてしまった虚竹は無理矢理に逍遥派の後継ぎ、掌門にされてしまうのだ。
望めば望むほどに少林寺から遠ざかってしまう虚竹が結構笑えるかも。




『天龍八部 第六巻 天山奇遇』
金庸 土屋文子:訳 徳間書店


読始5/31 読了5/31

コメント・・・
なんだか振り返って見るとあらすじ書くばかりだな。
たまにはウザいキャラでも選んでみるかな。
ほとんどのキャラが好漢なんだが、やはり一番マズイのが殺人姫の阿紫だね。こいつは、ヤバイ。
それから暮容家の包不同。不同の名が示すように何かにつけて逆らったセリフを吐く。自分より強い相手に悪口を挑むシーンはともかく、意味のないところで横から口を出すヤカンモードに入るとUzeeeeee!!
最後のおまけで暮容復。美男子で達人。侠気もある。じゃあ何がダメかっつーと、行動の端々に一族の悲願である燕国再建が優先事項として浮かび上がり、打算的な奴という印象が残ってしまうんだね。
それはそれとして、今回は少林寺に未練タラタラの虚竹が無理矢理に逍遥派の技を叩き込まれる(笑)
少林寺の教えを捨てることを嫌がる虚竹に対し天山童姥は卑劣なワナで戒律を次々と破らせるのだ。
そしてとうとう虚竹は逍遥派の修練を積み縹渺峰霊鷲宮の主になってしまうのだった・・・
愉快愉快(笑)




『天龍八部 第七巻 激闘少林寺』
金庸 土屋文子:訳 徳間書店


読始5/31 読了5/31

コメント・・・
ついにほとんどの謎が解かれる!!
少林寺に集まる武芸者たち。中国の武林の盟主となる者は誰なのか見物に・・・
英雄集結である。
そして、ややこしく絡まっている人間関係に従ってバトルロイヤルが始まる。
虚竹は幾人かの師匠の仇である星宿老怪と。
簫峯は自分を親の仇と狙い、また義妹阿紫に恋慕する荘聚賢こと游担之と。
段誉は愛する王語嫣の思い人、暮容復と。
そして乱たけなわになった頃、さらなる戦いが始まり・・・
いや、もぉ、熱くて熱くてたまらない。夏場に読むのはお薦めできない。
冬だね。冬に読めば暖房の代わりになるね。
そして、名残惜しくも次で最終回か・・・




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欄外 ゲームの伝道


今、必殺のソフマップDCソフト投げ売り。
そこで買ったのがクレイジータクシー2 399円。
どれくらいクレイジーなゲームかというと・・・
歩行者を蹴散らし、道をふさぐ車に体当たり>横転させてみたり、大迷惑の嵐。
そんなムチャをしながらお客を乗せては目的地にすごい速さで送り届ける!
っていうか100m先の店までタクシーで移動するなよ、って客もいる(爆)
おぉ!お客もクレイジー!!
・・・
まぁ、丁寧に走れば上に書いたようなクレイジーぶりは発揮しなくてすむんだけどね・・・
とりあえず面白い。
激しくお薦め。