Quanさんの書評
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「ダブルブリッド」(電撃文庫)中村恵里加

 ……電撃文庫の方が新人の質がいいかもしれない……(何と比べて?)。
 第6回電撃ゲーム大賞<金賞>受賞作。伝奇ものとしての完成度もさることながら、特筆すべきはキャラクターの描き方。主人公である半妖の少女(というには年を食っているが)と、堅物の警察官の心の交流。きちんと個性を持った2人のキャラクターが、お互いに影響を与えあっているところが読み取れてよい。
 イラストがちょっと……と思われたので最初は敬遠していたのだが、試しに買ってみて大当たり。でもイラスト(特にカラー)はあまり好きにはなれなかった。……ただし、ラストの一枚は本当にいい。
 続きもすぐでるそうなので楽しみ。
評価☆☆☆☆+

麻弥さんの書評
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●「ダブルブリッド」中村恵里加[電撃文庫]550円(00/2/10)

第六回電撃ゲーム小説大賞の金賞受賞作。
20世紀半ばから奇妙な外見をもった生物が各地で発見されていた。それらは特殊な遺伝子を持ち、普通の生物では持ち得ないような強力な能力を秘めていた。それら「怪」の中には人間と同じような外見をしたものたちもいた。優樹は人型の「怪」であり、「怪」が起こした事件を捜査する組織「捜査六課」のメンバーであった。その六課に特殊部隊「EAT」のメンバーのひとりである山崎が派遣されてきたが…
人間に似た姿をしているけれども人間ではないもの。その孤独と哀しみ。…こういうテーマってすごくツボなんですよ。だから期待して読んだんだけど。
基本的には今の世界の延長で、そこに「怪」という生物が関わってる世界なんだけど、これらの設定が現在の世界に接ぎ木されてるけどうまく繋がってない感じ?世界構築が薄っぺらい感じがする。
話は途中はタルかったけど、ラストのあたりとかはなかなかよかったです。シリーズが続くなら続きはとりあえず読んでみるつもり。
上遠野浩平の推薦文がよかったです。この手の文書を書かせるとうまいですな、この人は。


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