大学生になったら推理小説研究会に入ろうと決心していた「ぼく」は、ちょっとした好奇心でその扉を開けてしまった。そのせいで、
<あかずの扉>研究会の一員となっていた。入会して早々、ただのサークルにすぎない<あかずの扉>研究会に、人捜しの依頼が持ち込まれた。
その先に待っていたのは、残虐な連続殺人事件だった・・・。 第12回メフィスト賞受賞作。島田荘司氏の推薦を受け、さらにペンネームまでつけてもらった霧舎巧のデビュー作。 本書にも書かれているが、まさに「ミステリフェロモン100%」の新本格推理小説だ。怪しげな館、連続殺人、密室、首なし死体、 さりげない伏線の数かず・・・などミステリファンのための小説だ。ご都合主義なところや現実味に欠けるなど不満もあるが、 それは新本格ミステリだから、謎解きを楽しむだけの小説だから、と思えば許せてしまう。 まだ、デビュー作ながら、明らかにシリーズ化をにらんで書かれたと思われる、様々な特徴を持った主要キャラクターの数々。 あまりキャラクターばかりにこだわられるのも考えものだが、本書は、キャラクター以上に論理的謎解きや大がかりなトリック、 巧みな伏線にこだわっている小説のようだった。 「新本格ミステリ」好きには、お薦めの一冊だった。 |