「雨天決行」「竜胆紅一の疑惑」「三つの日付」「完璧な遺書」「ジャバウォッキー」「英国庭園の謎」の
計6作からなる短編集。
「完璧な遺書」:一方的に愛していた女性を、衝動的に殺してしまった荻原冬樹は、彼女の死を自殺に偽装しようと思いつく。
そのために彼は、完璧な遺書を偽造した。しかし、そこには意外な落とし穴があった。
「英国庭園の謎」:資産家・緑川隼人は、自宅に数人の知り合いを集め、宝探しゲームを催した。参加者には、宝の在処を示す
一枚の暗号文が渡された。しかしそのゲームの最中、緑川氏は何者かに殺害されてしまうのだった。
おなじみの火村・アリスコンビが活躍する<国名シリーズ>の第4弾である。「ロシア紅茶の謎」「スウェーデン館の謎」「ブラジル蝶の謎」「英国庭園の謎」と読んできたなかでは、
本書が一番面白く感じた。どの短編も実によくできているのだ。いままでは、どうもキャラクターばかりが目立っていて、内容は今ひとつという感じの短編が多かったのだが、
本書は、内容もしっかりしている。お薦めの一冊である。 |