warさんの書評
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涼院 流水
全日本じゃんけんトーナメント
  1. 幻冬舎98.2/幻冬舎文庫99.11
  2. 運が確率を支配し、運の強い者が確実に勝ち上がる「全日本じゃんけんトーナメント」。負けたいのに負けられない、気弱で不運な木村彰一は自らの運命に弄ばれて、残念ながら決勝トーナメントに勝ち進んできていた。この強(凶?)運の正体は?グー、チョキ、パーの論理で運の謎を解き明かし、運命を支配しようと試みる空前絶後の新世紀ミステリ。
  3. まずタイトルのインパクトに目が止まり、帯に「ミステリー」と書かれているのを見つけ本書を手にした。一体じゃんけんの勝ち抜きなんぞでどの様な話の展開になるのか。疑問と期待が入りまじる思いである。読み進めるとじゃんけんを勝つ為にそれぞれの戦法(といえないものもある)があってなかなか愉しい。データ重視型、絶対はずれる予想屋、ただの強運もしくはビギナーズラック、はたまた読心術。「ぼく」、木村彰一はアンラッキーが武器というわけのわからなさ。そして最後にどんでん返しが鮮やかに決まる。話のつじつまがおかしいな、と思ったが"エル"と"両親"の思惑が違った事で納得。運を否定し計算ずくを肯定するじゃんけん大会は読みやすく読後感もさっぱりする話だった。



麻弥さんの書評
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●「エル 全日本じゃんけんトーナメント」清涼院流水[幻冬舎ノベルズ](98/2/2)

日本中が熱狂する、「じゃんけんトーナメント」。決勝トーナメントまで勝ち進んだ木村彰一は、負けたくて仕方なかったのだが、意に反して勝ち進んでしまう。また、そのトーナンメントの裏では、主催者が水面下で工作を行っていた…
あの清涼院流水にしては…すごくまともな本でした。「じゃんけんトーナメント」という設定こそ突飛ですが、これは別に許容範囲だし、ストーリー展開自体はまっとうでした。
(それにしても、一企業にこんなギャンブルをやることってできるの(^ ^;)?この世界では、国や自治体じゃなくてもできるってことなのかな(^ ^;)?)
おもしろい、とまではいえないけど、そこそこ楽しめました。
ただ、文章にハートマークや音符記号が出てきたり、傍線がやたらにひいてあったり、そういういつもの表記法が苦手の人はやめておいた方がいいでしょう(^ ^;)。

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