本当に待ちかねていました、古橋秀之の新刊。
武術の達人・趙五行とその一行は、隊商の護衛で森の中を通っていたときに、猿を率いて襲撃していた少年と戦った。その少年の右腕は、まるで鬼のような、6本指の異形をしていた…
今回の作品は、中華格闘ファンタジー…というより、あとがきによると「"武侠"小説っぽい感じ」の作品。とにかく、「きもちいいっ」作品でした。
漢字、カタカナ・ひらがなによるテンポのよい連なりで描かれた武闘シーンがリズミカルで、スピードがあって、日本語ネイティブであることの幸せを存分に味わうことができました。
敵味方、ちょい役も含めたキャラクターが魅力的だし(劉一諾が一番好み)、世界観にも深みがあります。物語はまだまだこれからという感じですので、続きがでてくれたらいいなあ…
それにしても何に驚いたかって、この本の読みやすさ。古橋さんの作品の中では、今までで一番すっきりして読みやすいかも。独特のアクは薄まったけれども、コクはちゃんと残っているような。
個人的に古橋さんの作品では「ブラックロッド」「ブラッドジャケット」「ブライトライツ・ホーリーランド」の積層都市・ケイオスヘキサ三部作が大好きなんですが、これは万人にオススメできるタイプの作品じゃないですもんね…