麻弥さんの書評
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●「人狼城の恐怖 第四部完結編」二階堂黎人[講談社ノベルズ](98/9/12)

「ドイツ編」発行から2年と5か月、ついに「人狼城の恐怖」の完結編です。ドイツとフランスの国境にあるという、謎に包まれた人狼城。それは国境の渓谷を挟んで、双子の城だという。その城で、時を同じくして、猟奇事件が発生する。その謎を解明するために名探偵・蘭子はいよいよ人狼城に乗り込む!…というわけで、今回は一冊丸々推理・解決編です。
人狼伝説、ハーメルンの笛吹き、ロンギンヌの槍、ナチスの秘密実験……もちろん、さまざまな密室……と多くの謎を絡めながら、これだけ大きく広げた風呂敷きをはたしてちゃんと畳むことができるのか??…と半分不安だったのですが、期待どおりの出来栄え。これだけ長いのに、それらがちゃんと絡み合って、最後に収斂していく様は見事です。
非常に長い話ではありますが、「本格」が好きな人であれば、何があっても読むべきでしょう。ミステリが好きな人も、興味があればぜひ読んでほしいですね。最初、意味なく長く思えるかもしれないけど、最後まで読めば、それらはちゃんと意味のあるパートであったことがわかるはずです。


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