Quanさんの書評
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「ジョーカー 旧約探偵神話」(講談社ノベルス)清涼院流水

 一言で言うならミステリ史上最大のパロディ。あるいは、つかれた(疲れた?憑かれた?)ものの言葉遊び。
 かの問題作「コズミック」の続編(?)。清涼院の作品で、唯一読み残していたもの。これを読んだことで、心おきなく最新作「カーニバル・デイ」に取りかかれる。
   内容は、全編ミステリというもののパロディ。「推理小説の構成要素三十項」を満たす連続殺人を行っていく怪人「芸術家」、次々と現れる謎、それに挑むJDCの名探偵達!
 リアリティとかそういうものを無視してきめかかれば、純粋にエンターテイメントとして楽しめます。ただし、真面目に読むと「つかれる」んじゃあないでしょうか。
 人物表現がオーバーである、という問題はさほど気になりませんでした。菊池秀行とかに比べればおとなしい方です。そもそも、そこらへんからして計算してやってますよ、この作者。
 以下、ネタばれです。
 犯人が最後の最後で「誰でもいい」となるのはちょっと意外でしたが、まあそれも続編のための伏線と考えれば納得は出来ます。後、「トンネル効果がおこった」などと平気で口にして済ませる九十九十九には違和感を憶えましたが、「まあ、それはそれ」。ミステリの謎としては城乃介や十九の推理披露で納得できます。自分を騙すことは可能です。あの付け足しは作者の趣味でしょう。
 「コズミック」に比べれば、ばかばかしさがなくなっている分だけ面白さが落ちます。人に勧められるかどうかは・・・・その人の酔狂度にも寄りますね。

「お疲れさまでした」
評価☆☆☆☆

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