Quanさんの書評
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「暁天の星 鬼籍通覧」(講談社ノベルス)椹野道流

 うわ、騙された騙された騙された。ミステリ(本格推理)じゃない。うわー。
 というかそれはないだろ。「メフィスト」に載った第一章「僕はそれがとても不思議だった」はあんなに本格テイストな話だったのにー。おちがあれかよ。こら(←柄が悪いぞおまえ)

 ・・・・冷静に考えてみれば、暗くなりがちな「法医学」だとか「検死解剖」だとかのテーマをあれだけライトに、しかも詳細に描いている力量には感服する。キャラクターもかなり魅力的だ。しかし、しかしだ、やはり期待を裏切られた感は否めない。今年に入って、おちであれだけ驚いた作品は他にはないぞ。
 「明らかになった真相とは」とか「謎はいかにして『謎(ミステリー)』になるのか」とか帯の文句もうそをつくのはやめろ。泣きそうだ。しかもあとがきで悪びれずに「これはミステリではない」なんて言ってるし。くう。
 で、だ。下の評価が2つあるのは、次回作に大いに期待するから。ミステリではないと思って読んでみると、なかなか楽しい話だったし。でも騙された。
評価☆(評価☆☆☆)


麻弥さんの書評
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●「暁天の星 鬼籍通覧」椹野道流[講談社ノベルズ](99/6/8)

ホワイトハートの「奇談」シリーズの椹野道流さんの新作。
今回は、大阪の法医学教室を舞台にした、ほのぼの話(?)。いや、謎はあるんですが、あんまりミステリじゃないんで。(展開はミステリぽいんだけどね)
ノリとしてはかなりライトノベルズです。キャラはなかなかいいですね。やりとりが楽しくて。伊月くん、結構気に入りました。
作者は本業が監察医だけあって、解剖の手順や遺体の描写などはリアルです。「死体は語る」のような話が好きな人は、これだけでも読む価値があると思います。
ミステリとして終わってくれたら、もっとよかったのになあ。
「特殊職業モノ」というのが好きなんで、個人的にはとても楽しかったです。続編も(でるよね??)期待してます。


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