Quanさんの書評
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「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い」(講談社ノベルス)西尾維新

 第23回メフィスト賞。
 ……またひとり私の購読リストに名を連ねる作家がでてきたわけだ。実際の話、このレベルの小説を量産できるというのならばすごい才能である。20歳という年齢をさしひいても将来を期待したい作家だ。作中至る所に「繰り返し」による表現技法が使われている。そこらへんも、この厚さの小説を量産する秘訣なのかもしれないが、そういったある意味くどい表現も、私にとっては結構好きな部類に入る。キャラを類型化し、それをうまく使っているのも高評価だし。たとえば、“画家”“メイド”“技術屋”などといった風に、キャラを端的にわかりやすく表現しているのがいい例だ。そして、なおかつそれが伏線にもなっているという驚き。……ふむ。
 一瞬のひらめきが産む文章は才能だが、良作の量産のできる能力もまた才能。次作以降も期待。
評価☆☆☆☆☆

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