氷沼家初代当主がアイヌ狩りをした祟りのせいか、それ以後の氷沼家の人間は相次いで無惨な死を遂げている。
祖父の光太郎は函館大火で焼死、長女の朱美は広島の原爆で爆死、そして長男と三男の両夫婦は、昭和29年の洞爺丸沈没事故で水死。
そして、氷沼家に残っている蒼司・紅司・藍司そして橙二郎の4人のもとにも、死神が訪れようとしていた。 完成まで10年を費やしたという1200枚の超大作。著者自ら、本書をアンチ・ミステリー、反推理小説といっているが、 僕には何をもって「アンチ・ミステリー」と呼ぶのかよくわからない。読んでみた印象では、最近多い「新本格ミステリ」に近い小説だと 感じた。ただし、雰囲気や重厚さ、内容の濃さなどは、「日本三大アンチミステリー」として、長年読み続けられているだけの説得力はある。 内容は、密室と死体→推理発表会→密室と死体→推理発表会→以下続く、といった感じである。非現実的なものから論理的なものまで、 様々な推理が展開され、同時に様々な知識――薔薇・五色不動・シャンソン・麻雀・時事問題・不思議の国のアリス等々――が盛り込まれている。 新世紀の1冊目として読んだのだが、何かそういう読み始めるきっかけがないと、なかなか手を出せなかったのだ。でも、読んでみると、 思っていたよりは難しくなくて読みやすかった。 |