Quanさんの書評
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「冥王と獣のダンス」(電撃文庫)上遠野浩平

 嫌な予感はしていたんだが……。
 さて、最初の一言は無視するとして、これは面白かった。もしシリーズ化できる(「する」ではない。読んでいただければわかると思うが)のならば、最近一番の大当たりだと言ってもいい。展開を急ぎすぎて、いささか詰め込みすぎの感がなきにしもあらず、だが。……しかしこの結末は唐突の様な気もする。まあ、それは好みの問題だろうからして。
評価☆☆☆☆+

麻弥さんの書評
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●「冥王と獣のダンス」上遠野浩平[電撃文庫]570円(00/8/5)

「ブギーポップ」シリーズでお馴染みの上遠野浩平の新刊。未来を舞台にしたSF設定でのボーイ・ミーツ・ガール物語。珍しくブギーの世界との繋がりはないけれども、話としては未来設定にした「VSイマジネーター」に近いかも。
遠い未来、謎の生命体との争いに敗れ、人類の技術力は退化し、地上はいくつも勢力に別れて争っていた。そのうち、「奇跡」を使う「軌跡軍」とかつての超科学文明の残滓にすがる「枢機軍」との二大勢力に別れていった。枢機軍のトモルが、奇跡軍の「戦略兵器」である夢幻と出会ってから話が始まる…
文明が退化した世界での超科学とか、超能力(ここでは奇跡ですが)とか、ライトノベルズにありがち設定ですが味付けの仕方はさすがにさじ加減がわかっているというか。あとキャラ立ちはいつもながらうまいですね。リスキイ兄妹がいいです。特に兄萌え。いいヒトなんだか困ったヒトなんだかわかりにくいところがなんとも。ヒロインは織機綾とキャラかぶってます。
この話自体は最初の「ブギーポップは笑わない」以前に作成したのを書きなおしたそうですが、そのせいか洗練度がブギーよりも低くなってます。
なんだかんだいいつつ、やはりその後の話も読んでみたいかなー。
イラストは緒方剛志さんで、本のデザインは鎌部さんというブギーと同じトリオ。イラストは今回はリアル系で、ブギーとは雰囲気がかなり近いますね。口絵の色使いが素晴らしい。鎌部さんのデザインもソツがなくていいなあ。


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