『謎亭論処』 祥伝社ノン・ノベル 西澤保彦 |
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収録作品 盗まれる答案用紙の問題/見知らぬ督促状の問題/消えた上履きの問題/呼び出された婚約者の問題/懲りない無礼者の問題/閉じ込められる容疑者の問題/印字された不幸の手紙の問題/新・麦酒の家の問題/ |
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ストーリー 女子高教師の辺見祐輔は、忘れ物を取りに戻った夜の職員室で、怪しい人影に遭遇した。その直後、採点したばかりの答案用紙と愛車が消失。だが二つとも翌朝までには戻された・・・。誰が?なぜこんなことを?やがて辺見の親友タックこと、匠千暁が看破した意外な真相とは?続発する奇妙な事件の数々。 |
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読んだ理由 タックシリーズ最新刊。読まずにいられません。 |
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評価 熱中度 面白い。文句なし。 キャラ ナイスキャラ。酒好きだな〜(笑) 残留度 久し振りに重くないです。 衝撃 突飛もない結末です。 総合評価 ヘンテコな動機、トリックですが妙な説得力があります。 |
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感想 ≪依存≫で一区切り付いた≪タックシリーズ≫の一作目≪解体諸因≫以来のシリーズ短篇集。今作は学生シリーズ社会人シリーズ入りまみれていて時系列はごちゃごちゃですが、それが反ってボリューム感を出していてファンには嬉しいかぎりです。しかも、どの作品も突拍子もない動機や結末ばかり(笑)。
『盗まれる答案用紙の問題』では、自分の愛車にラクガキを書いた犯人を見付けるために答案用紙をコピーし、『見知らぬ督促状の問題』は、愛人を探すめ。『消えた上履きの問題』では死体を移動させたことをごまかします。 当短編集は、全篇を通して共通した犯人の心理が描かれていると思います。どの話の犯人も、自分に都合の良い結末、利益の為に犯行を行なっています。犯罪を行なうのだから自分に利益となることのために犯行を行なうのは当然なのですが、やはりそういった心理を見せられると人間の醜くて卑劣な部分に嫌悪感を覚えずにはいられません。けど、そういった面があるからこそ、優しさや温かさが身に凍みるのかな。そんなことを感じさせる作品群でした。 |
3月31日読了 |
西澤保彦の最新刊は、タック&タカチのシリーズの短編集。このシリーズらしく、アルコールを飲みながら推理するという形となってます。
短編集ってことで小ネタになるのは仕方ないとはいえ、謎とその解決に強引すぎるところがいくつかあったのが気になりました。
チョーモンインシリーズの方場合は話の設定がムチャなだけに「謎と解決」というミステリとしての構成については逆に自然に感じちゃうのです。タック&タカチシリーズは現実世界を舞台にしてるだけに、不自然さがついちゃうんですよねぇ…
このシリーズはキャラクターが好きだから値段分は十分楽しめましたが。このシリーズでは「依存」だけはまだ読んでないので、はやくノベルズ化か文庫本化をしてほしいなあ。