「鴉」に続く、久々のメルカトル鮎シリーズということで楽しみにしてたら、あの系列の作品ではあるものの、「翼ある闇」より後の話なので、メルはでてこないのねぇ。かわりといってはなんですが、烏有さんはでできます。あと、「翼ある闇」にでてきた探偵と作家先生も。
京都の山奥に不思議な姿の豪邸を構える、有名芸術家とその一族。雪に包まれた夜、切断された首がピアノの鍵盤の上に置かれるという惨劇が起こる。しかし、関係者は全員アリバイが成立していた…
最初のうちはサクサク読めるし、アリバイ一覧表とかでてきて、「おおー、まっとうなミステリぽい!!」と思ってたけどやはり麻耶作品でありました。こういうような動機は個人的には好きではありますが、でもあんまり人には勧められない作品かも。独特ですから。
1度目に読んだときには意味不明だったことが、二度目に読むと「事件の黒幕」が浮かび上がる構図となっています。なるほど。
この作家さんは、クセがありすぎるために一般的にオススメはできないけれども、ハマる人はとことんハマるような吸引力を持っています。美しすぎる造花のような、作り物めいた美が好きな人にはいいかもしれません。話は独立していますのでこの作品からでも大丈夫ですが、やはり順番は守った方がいいかも。
結婚って、ご本人がですよねぇ? おめでとうございます。でも結婚後第一作がこれって奥さん読んでどう思うんだろ…
比叡山の山奥に隠棲する白樫家は、一点に収斂する家系図を持つ”閉じられた一族”。その奇矯な屋敷が雪で封印された夜、
再び烏有は惨劇を見た。世界的な芸術家・宗尚の義理の娘、晃佳の首がピアノの鍵盤の上に置かれていたのだ。
関係者全員に当てはまる精緻なアリバイ。冷酷で壮絶な論理だけが真相を照らす!(本書アラスジ引用) 『翼ある闇』『夏と冬の奏鳴曲』『痾』の流れを汲んだ作品。この3作を読んでいないと、登場人物の背景などが さっぱりわからないかもしれない。 まるでトラベルミステリの時刻表トリックのように、細かいアリバイ崩しが展開される。時刻表のアリバイ崩しものが 苦手な僕にとっては、かなり読みにくかった。そのうえ似たような名前の人ばかり出てくるので、ますます混乱してしまう。 ミステリに現実的な設定やトリックや動機などを求めている人には向かない本である。 |