みはるさんの書評
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「魍魎の匣」

(講談社ノベルス、文庫)

「−彼岸に」 

シリーズ第二弾。関口、京極堂、榎木津、木場などおなじみのメンバーに加えて、今回の「事件」に関係する人物が複数いる。また、それ以外におなじみメンバーに加わったものは、鳥口守彦・・・・カストリ雑誌の編集者、が出てくる。

この作品も非常に、本当に「非常に」おもしろいのだけれど、やはり魅力、ということになると、前作のほうが勝っているように思われます。前作は一貫してなんとも言えない雰囲気が漂っていましたが、今回のは、そうしようという作者の小細工が見えてしまって、その雰囲気に乗りきれないところがあった。まあ、それはシリーズものの宿命でしょうけど。
ストーリーは重く気味の悪いものですが、今回、前回以上に榎さんのキャラクターが爆発していておもしろい。笑えます。
ラストは・・・少し切ない感じがしました。読み終わってもしばらくその切なさがぬけませんでした。今回、京極堂がなぜ「座敷探偵」なのか、わかります。もし彼がアクティブなら小説の厚さは半分以下でしょう(笑)

京極堂の「感情を露に、泣いたり喜んだりして生きることだけが人間らしいとは思えない」というセリフは、わたしにとって個人的になんだか救われた気がしました。


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