Quanさんの書評
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「闇魔術師ネフィリス 悪意の街」(角川スニーカー文庫)梅津裕一

 ネガティブなファンタジー。キーワードは「死霊」「悪意」「お家騒動」「SM(?)」。
 闇魔術師ネフェリスが、とある魔術を追い求めてある街にやってきたところから物語が始まる。登場人物はみんな歪んでおり(過去、性格、趣味嗜好……)、ほとんど唯一まともそうだったお姫様も最後に○○だと判明。ネガティブネガティブ。こういうダークな設定は大好き。どろどろしておるのお。
 いまいちセンスに疑問を憶えるところもある。特に猫娘はいいとしても、語尾に「〜だにゃ」なぞとつけるところは。ただ、そのセンスが(ヤングアダルト作家にしては)独特であることは間違いないだろう。そうでもなければ登場人物という登場人物がこんなにステッキーな性格であるはずがない。死霊術師であるネフィリスの趣味嗜好が一番まともそうに感じたくらいだ。特にメイシャのトラウマなんぞは歪んだ妄想(誉め言葉)でないと考えつかんて。
 イラストはまあこんなものか。ただ、見開きのカラー、もう少し主人公チームらしく描いてあげなよ。どうみても敵役だったぞ。
 これはこれで完結しているお話だが、どうも続きも書けそう。続きがでたら買うだろう。
評価☆☆☆☆+


麻弥さんの書評
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●「悪意の街 闇魔術師ネフィリス」梅津裕一[角川スニーカー文庫]600円(00/12/05)

ビジュアルデザインが印象的だったので買ってみました。
放浪の闇魔術師・ネフィリスが辿りついた街・フェルヴァースは混沌とした状況に陥っていた。領主は病気で床につき、領主代理は頼りない少女、そして魔女が暗躍しチンピラが幅を利かせていた。ネフィリスは依頼を受け、魔女を討伐することとなったが、さらに恐ろしい事態が街を襲うことに…
設定といい、ストーリー展開といい、ここまでネガティブなのはライトノベルズには珍しいですな。文字通り「悪意」に満ちた話。
でも設定にしても文章にしてもサラリとしてサクサク読めちゃうんですよね。この手の話であれば、もっとどろっと粘性の高いものの方がいいんだけども。古橋秀之の「ケイオスヘキサ」シリーズみたいに。
かなり血肉が飛ぶ話ですが、読んでてもうひとつ痛さが伝わってこないなあ。そういう点とかキャラクターポジションとか少々カラ回りしている印象が。つまらないというわけではないんですが、うーむ。


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