hideさんの書評
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『塗仏の宴−宴の支度−』京極夏彦(講談社)
興奮★★★☆☆笑い ★☆☆☆☆ 涙★☆☆☆☆ 総合★★★★☆
 奇妙な肉人「ぬっぺっぽう」。驚かし系の妖怪「うわん」。九州地方での河童の別称「ひょうすべ」。 詳細不明の山の妖怪「わいら」。監視する妖怪「しょうけら」。髪の毛妖怪「おとろし」。 今回は、この6つの妖怪が登場します。これらの妖怪は、どれも詳しいことが分からなかったり、絶滅したり 一般には知られていない妖怪です。また、今回は、妖怪以上に怪しい団体や怪しい人物が登場します。まるで ちょっと前に世間を騒がせた某宗教団体のような怪しさで、僕も気をつけようと思いましたね。

 今回は、今までの京極作品とは違い、オムニバス形式となっているため比較的読みやすかったです。ただ、オムニバスのため 一つの話が、どれも100ページ前後しかなく、ちょっともの足りない気がします。さらに、100ページしかないのに、 いつも通り要所要所で、京極堂の蘊蓄が展開されるので、たまりません。しかし、オムニバスとはいえ、 各話に登場する地域や人物は、少なからず関係しています。さらにさらに今回は、前回出番がほとんどなかった 関口先生が、各話の間に毎回登場します。ただし、あまりいい登場の仕方ではないんですが・・・

 「宴の支度」というだけあって、多くの謎を残し、解決は「宴の支度」編まで全くないのでかなりイヤな気分です。この解決編となる 『塗仏の宴−宴の始末−』は、7月に発売予定なので、それまでの数ヶ月、出そうで出ないクシャミのような気分で 待たなければなりません。だから、これから読もうとしている人は、解決編は7月以降だという事を踏まえて読み始めてください。 今すぐに読みたい!とまでは、思っていない人は、2冊とも発売されてから読み始めた方がいいかもしれませんね。 それと、前作『絡新婦の理』を読んでいない人は、6話目「おとろし」は、読まない方がいいかもしれません。 犯人分かっちゃうし、『絡新婦の理』の結末もだいたい分かっちゃいます。



麻弥さんの書評
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●「塗仏の宴 宴の支度」京極夏彦[講談社ノベルズ](98/3/29)

お待たせしました!!の、京極夏彦の新刊です。
今回の本は、手に優しいです(笑)。薄い。…といっても、600ページありますが。
「塗仏の宴」は、二冊に別れていて、この「宴の支度」が発端をなすもので、「宴の始末」がその結末となるそうです。
「支度」の方は短編集(??)で、そのうち2本はすでにメフィストに掲載されていて、私も読んでました。
今回は、前作で出番が少なかった関口くんが大活躍……はちょっと違うか、いつにもまして崩壊してます。みーはー的視点では、京極堂の過去がほんの少し明らかになったとか、いつものウンチクが素敵だとか、榎さんがカッコよかった〜〜〜〜〜とか……
あと、新キャラもなかなか興味深いし、今までの作品の重要人物の再登場もあるし…
ただ、謎がこんがらがったまま、全然「落ちてない」んですね。そりゃ、前編だから仕方ないけど、もやもやしたものが残っております。
とにかく、はやく続きを出してほしいですね〜。噂では7月だという話ですが。その頃には、全部忘れてそうだから、もう一度読みなおさなきゃ。



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