『塗仏の宴−宴の支度−』京極夏彦(講談社) |
興奮★★★☆☆笑い ★☆☆☆☆ 涙★☆☆☆☆ 総合★★★★☆ |
奇妙な肉人「ぬっぺっぽう」。驚かし系の妖怪「うわん」。九州地方での河童の別称「ひょうすべ」。
詳細不明の山の妖怪「わいら」。監視する妖怪「しょうけら」。髪の毛妖怪「おとろし」。
今回は、この6つの妖怪が登場します。これらの妖怪は、どれも詳しいことが分からなかったり、絶滅したり
一般には知られていない妖怪です。また、今回は、妖怪以上に怪しい団体や怪しい人物が登場します。まるで
ちょっと前に世間を騒がせた某宗教団体のような怪しさで、僕も気をつけようと思いましたね。
今回は、今までの京極作品とは違い、オムニバス形式となっているため比較的読みやすかったです。ただ、オムニバスのため
一つの話が、どれも100ページ前後しかなく、ちょっともの足りない気がします。さらに、100ページしかないのに、
いつも通り要所要所で、京極堂の蘊蓄が展開されるので、たまりません。しかし、オムニバスとはいえ、
各話に登場する地域や人物は、少なからず関係しています。さらにさらに今回は、前回出番がほとんどなかった
関口先生が、各話の間に毎回登場します。ただし、あまりいい登場の仕方ではないんですが・・・
「宴の支度」というだけあって、多くの謎を残し、解決は「宴の支度」編まで全くないのでかなりイヤな気分です。この解決編となる
『塗仏の宴−宴の始末−』は、7月に発売予定なので、それまでの数ヶ月、出そうで出ないクシャミのような気分で
待たなければなりません。だから、これから読もうとしている人は、解決編は7月以降だという事を踏まえて読み始めてください。
今すぐに読みたい!とまでは、思っていない人は、2冊とも発売されてから読み始めた方がいいかもしれませんね。
それと、前作『絡新婦の理』を読んでいない人は、6話目「おとろし」は、読まない方がいいかもしれません。
犯人分かっちゃうし、『絡新婦の理』の結末もだいたい分かっちゃいます。 |
|