hideさんの書評
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『塗仏の宴−宴の始末−』 京極夏彦(講談社)
笑い★★☆☆☆ 涙★☆☆☆☆ 恐怖★★☆☆☆ 総合★★★★★
 伊豆のとある村で、女性を裸にして殺害し、さらにその死体を木に吊すという殺人事件が発生した。この事件の被疑者はなんと、作家・関口巽であった。目撃証言も数多くあり、 逮捕されてからは自白も始めているという。果たして関口君は、ほんとに犯人なのだろうか。そして、その事件と前後して、街に奇怪な宗教集団が現れ始めたのだった。

 ようやく『〜−宴の支度−』の後編である本作品を読むことができた。京極さんの著書は、とにかく分厚くて、難解であるため読み始めるのには覚悟と時間が必要なのだ。
 今回は、京極堂こと中禅寺秋彦と、言い争える人物がたくさん出てくる。はっきり言って彼らの会話は1度読んだだけでは理解しがたい。いつもならそんなときは、関口君が 愚かな質問をして、理解の手助けをしてくれるのだが、今回、彼は牢獄に入っているのだ。また、今回は、『絡新婦の理』と同等もしくはそれ以上に事態が複雑で、 登場人物も半端じゃなく多い。しかも出てくる人物が、占い師・霊感少年・気功道場・漢方薬局・新興宗教など、どれもこれも怪しい一癖も二癖もある者ばかりだから一層混乱する。 だから、これから読む人は、登場人物の名前やプロフィールなどをメモしていきながら読んだ方がいいと思う。僕は、そうやって読んだため、いくらか 混乱は避けられた。それにしても黒衣の京極堂が出てきてからの、スピーディーな展開は何度読んでも、鳥肌が立つくらいすばらしい。



麻弥さんの書評
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●「塗仏の宴 宴の始末」京極夏彦[講談社ノベルズ](98/9/18)

「支度」から半年、やきもきしなから待った完結編です。
とにかく、すごい話でした。シリーズ最高傑作ではないかと個人的には思います。(一作目からリアルタイムで読んでるのはちょっと自慢(笑))
色とりどりの糸で織り上げられた曼荼羅の美しさ。読み終わったあとのなんともいえない酩酊感、これがあるから京極夏彦はやめられない。
ファンなら放ってても読むだろうし、この本は色々なページでもっとおもしろい書評がでるだろうから、そういうことはおいといて、とりあえず注意。
「支度」を読んでない方、「始末」のあらすじは絶対に読まないように。ネタバレです。
「支度」をほとんど忘れた方は、「始末」の前に再読しておくことをオススメします。そうじゃなきゃ、あの編まれた世界の美しさがわかりにくいと思うので。
「始末」で、「あんまり関係ないのでは?」と思える短編も、実は深く話にかかわっています。読み落としのないように(^ ^;)。「支度」がちょっと退屈…と思った人も「始末」の話のうねりには満足すると思いますよ。あれだけの長さも、「宴」のためには必要な「支度」だったんですから。
ここ数日、本関係のサイトでは「始末」の話でもちきりだったと思うけど、それをみて興味を持った人は、「支度」から読むのではなく、シリーズ最初から読んだ方がいいです。途中から読んでも話はわかるんだけど、このシリーズは登場人物が複雑に絡み合っているので、最初から読んだ方がいいかも。
最近、「姑獲夏(うぶめ)の夏」の文庫版(講談社文庫)がでたばかりだし、それからチャレンジしてみては?
初心者(?)は京極堂のウンチクで挫折する人もいるそうですが、それが辛かったらその部分は読み飛ばしてください(爆)。それでも話はちゃんとわかりますから。
一度最後まで読めば、キャラに興味がでるだろうから、それから読み直せば全然辛くないのではないかと。
京極夏彦の作品をリアルタイムで味わえることの幸せと苦しさ(この半年は長かった(^ ^;))をしみじみと感じました。
…それにしても、榎さん、カッコよかったっっっ!!いやあ、ホレ直しました(*^ ^*)。
キャラ萌えな、完全ネタバレの話はこちら。作品を読み終えてない方は、絶対に読まないでくださいね。

巻末に、雑誌「メフィスト」で連載を開始する、「百器徒然袋」の宣伝が載ってるけど、なんと榎さんがでるらしい(*^ ^*)。「IN★POCKET」で「探偵はでてくるけど、ミステリじゃない」って言ってたからひょっとして…って思ってたけど。嬉しい〜〜。…でも、榎さんメイン(って勝手に決め付ける(^ ^;))で、話はまともに成立するの????…とにかく、「メフィスト」予約しにいこう(^ ^;)。



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