伊豆のとある村で、女性を裸にして殺害し、さらにその死体を木に吊すという殺人事件が発生した。この事件の被疑者はなんと、作家・関口巽であった。目撃証言も数多くあり、
逮捕されてからは自白も始めているという。果たして関口君は、ほんとに犯人なのだろうか。そして、その事件と前後して、街に奇怪な宗教集団が現れ始めたのだった。
ようやく『〜−宴の支度−』の後編である本作品を読むことができた。京極さんの著書は、とにかく分厚くて、難解であるため読み始めるのには覚悟と時間が必要なのだ。
今回は、京極堂こと中禅寺秋彦と、言い争える人物がたくさん出てくる。はっきり言って彼らの会話は1度読んだだけでは理解しがたい。いつもならそんなときは、関口君が
愚かな質問をして、理解の手助けをしてくれるのだが、今回、彼は牢獄に入っているのだ。また、今回は、『絡新婦の理』と同等もしくはそれ以上に事態が複雑で、
登場人物も半端じゃなく多い。しかも出てくる人物が、占い師・霊感少年・気功道場・漢方薬局・新興宗教など、どれもこれも怪しい一癖も二癖もある者ばかりだから一層混乱する。
だから、これから読む人は、登場人物の名前やプロフィールなどをメモしていきながら読んだ方がいいと思う。僕は、そうやって読んだため、いくらか
混乱は避けられた。それにしても黒衣の京極堂が出てきてからの、スピーディーな展開は何度読んでも、鳥肌が立つくらいすばらしい。 |