麻弥さんの書評
●「ペリペティアの福音 下〜聖還編」秋山完[ソノラマ文庫](99/8/12)
「ペリペティアの福音 中〜聖誕編」から早一年。やっと完結です。
悪の製薬会社と闘う、正義の葬儀社の話から世界の命運をかけた戦いへの突入の危機だとかなんだかとんでもない話になってしまいましたねぇ。
残酷なメルヘン、でしょうか。かなりギリギリの状況が容赦なく描かれてる一方でほわんとした柔らかさを感じさせる話です。
あれだけ広げた風呂敷きをちゃんと畳むことができたというだけでも評価していいんじゃないかと。正直いうとDNAのあたりの話はついていけないものがありましたが、アイデアやエピソードは結構おもしろかったです。
フレンの活躍が嬉しかったな。
オススメ作品です。
秋山完さんは、次作も楽しみな作家さんです。
Quanさんの書評
「ペリペティアの福音」(ソノラマ文庫)秋山完
よ〜やっとでた完結編。
前作がなんかとんでもないところで終わったために、(そして発売が延期に延期を繰り返したため)、待ちに待ってた完結編。話としては、女帝としてアドルファに操られるファンランを奪回しようとするティックたちの活動と、女帝が束ねる49王国軍を打倒しようとするトランクィル廃帝政体“星海艦隊”の動きが平行して語られる。
設定がまたハード。私は文系なので、惑星ペリペティアに関しての科学的説明は「ふ〜ん」としかいえなかったが、理系が見たら嘘だらけなんだろうなあ。ともかく、聖書に描かれる楽園の実現を、神の直接介入なしに設定したのは見事。
秋山完のこれまでの作品から見るに、「心と心のつながりがもたらす奇跡」をテーマにしているものがほとんどだ(著作リストが完璧なら)。「ペリペティアの福音」はその集大成と言ってもいい。当初の予定巻数よりも増えたようで、その分「長くないか、これ?」と思った。ただし、この最終巻は今までの遅れを取り戻すかのように、見せ場・名ゼリフの連発である。はっきり言って、心に残る名ゼリフを一つあげろというのは不可能に近いが、あえてしたのひとつをあげる。これがこの物語を象徴しているように感じるからだ。
追記。あのお嬢様の今後が次回作かな?
「あれが奇蹟なら、あなたが起こしたのだ・・・・あなたは、人が神の助けがなくても奇跡を起こせることを、示されたのです」
評価☆☆☆☆☆
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