八代目関東桜会総長の相良直吉が急逝した。小説家の木戸孝之助は、仲蔵叔父に頼んで、取材をかねて葬儀に出席した。
そこで彼は、かつての流行歌手の真野みすずに会う。彼女と仲蔵そして相良直吉との関係を知るため孝之助はプリズンホテルに向かった。
その頃プリズンホテルには、ちょっとした手違いで警察官一行が慰安旅行のため宿泊していた。さらに間の悪いことに、
武闘派で知られる大曽根一家も宿泊するために、プリズンホテルに向かっていた。
シリーズ2作目。あとがきを読むと、著者は前作より面白いものを書かなければ、とかなり気合を入れて書いたようである。
そのため、前作に負けず劣らず面白い一冊になっている。
今回はヤクザが経営するホテルに警察官が泊まりにくる、と設定を聞いただけで笑いが込み上げてしまうようなストーリーである。
しかも、他にも大曽根一家や落ち目の歌手、大学教授風の男など個性豊かな登場人物がたくさん泊まっている。この登場人物たちを
うまく組み合わせ、からませて絶妙な面白さと感動的なストーリーを作り出している。
あまりにも周りが濃いため、偏屈で薄情な性格の主人公・木戸孝之助の存在がかすんでみえた。それでも最後の最後に彼にホロリと
させられてしまった。
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