東京のホテルでカンヅメになっていた小説家・木戸孝之介だったが、押しかけてきた編集者から逃れるため、清子を連れて
<プリズンホテル>に向かった。道中で、同じく<プリズンホテル>に泊まるという傷心の看護婦と出会う。
そして雪深い山奥に建つそのホテルには何やらワケありの医師が一人宿泊していた。
毎回、設定が突飛で楽しみな『プリズンホテル』だが、今回は割りとまともな設定だった。
今回は、末期ガン患者に頼まれて安楽死させた医師、<血まみれのマリア>と呼ばれている救命救急センターのベテランナース、
伝説の登山家、自殺志願の少年という組み合わせで、過去2作と比べ極道色は薄く、恋愛色
がちょっと濃いストーリーになっている。
登場人物が毎回、お説教のようでいて説教じみてない含蓄のある言葉を話すのだが、これを読むと「浅田さんは相当中身の濃い
人生を送ってるんだろうなぁ」と思えてくる。著者経歴に「様々な職業を経て」、と書いてあるが、相当いろいろな職に
就いたんだろうなぁ。
|