麻弥さんの書評
HPはこちら Books by 麻弥


●「プリズンホテル 冬」浅田次郎[徳間書店](98/10/15)

「プリズンホテル」シリーズ三冊目。今回は、救急センターのベテラン看護婦・血まみれマリアに、患者を安楽死させてしまった医師。山男に、自殺志願の少年。ハデな前作とは違って、雪に閉ざされたホテルでひっそりと話は進行します。
前作も泣けたけど、これはもっともっと泣けた。三作目なんだけど、読みはじめると、「あ、帰ってきたんだ」って感じを味あわせてくれる、温かい話でした。
この作品に出てきた「血まみれマリア」が、別の作品にも登場しているって聞いたことがあるような気がするんだけど……


hideさんの書評
HPはこちら Dr.Jekyll and Mr.hide


『プリズンホテル 冬』浅田次郎(徳間書店)
笑い1.5点 涙2.5点 恐怖0点 総合3.5点
 東京のホテルでカンヅメになっていた小説家・木戸孝之介だったが、押しかけてきた編集者から逃れるため、清子を連れて <プリズンホテル>に向かった。道中で、同じく<プリズンホテル>に泊まるという傷心の看護婦と出会う。
 そして雪深い山奥に建つそのホテルには何やらワケありの医師が一人宿泊していた。

 毎回、設定が突飛で楽しみな『プリズンホテル』だが、今回は割りとまともな設定だった。
 今回は、末期ガン患者に頼まれて安楽死させた医師、<血まみれのマリア>と呼ばれている救命救急センターのベテランナース、 伝説の登山家、自殺志願の少年という組み合わせで、過去2作と比べ極道色は薄く、恋愛色 がちょっと濃いストーリーになっている。
 登場人物が毎回、お説教のようでいて説教じみてない含蓄のある言葉を話すのだが、これを読むと「浅田さんは相当中身の濃い 人生を送ってるんだろうなぁ」と思えてくる。著者経歴に「様々な職業を経て」、と書いてあるが、相当いろいろな職に 就いたんだろうなぁ。


戻る