1988年10月18日午後1時6分、43歳のラジオ局ディレクターのジェフは、心臓発作で死亡した。
ところが次の瞬間、25年前に住んでいた学生寮で目が覚める。どうやら18歳に逆戻りしたらしい。しかも記憶と知識は
43歳のままで、身体は大学一年生。競馬も株も思いのまま、ひたすら金を儲け大金持ちになったのだが、再び同年同月同日同時刻、
彼は死亡する。そして果てしない再生<リプレイ>が始まる。
第14回世界幻想文学大賞受賞作。
「時間」を扱ったSF小説は多く、ありふれたテーマなように思えるが、本書は一味違う。個々のエピソードが良いとかリアリティが
あるなどはもちろんのこと、ただのSFにとどまらず、「人は何のために生きるのか?」「人生とは何か?」というような
哲学を感じさせるのだ。
自分だったらこうするのになぁ、と考えながら読めるのは楽しい。でも実際ジェフの立場になったら無間地獄だと思う。
人生やり直してどんな幸せな生活が送れたとしてもその先にあるのは「フリダシに戻る」のコマだとわかったら空しいし、
悲しいだろう。
とても面白かったのだが、エピローグは不要だったのではないかと思う。SF小説らしいエピローグではあるが、僕はその前で
終わっていれば良かったなぁと感じた。
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