麻弥さんの書評
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●「李歐」高村薫[講談社文庫](99/11/8)

「わが手に拳銃を」を元に書き下ろした作品。
高村薫は、「神の火」で挫折して以来、なんとなく苦手意識があって手を出さなかったんです。でもこの作品は評判いいし…でずっと気になってたんだけど、「ヒカルの碁」で海王の大将・岸本くんが手にとっているのをみて、読もうかな、と。
大学生・一彰は美貌の殺し屋・李歐に出会って運命が変わった。共有した時は短かったが、互いにかけがえのない相手となった二人。そしてふたりの間に15年の年月が流れ…
硬質で冷たくて、それでいてどこか熱く、そして色っぽい、ハードボイルド。高村薫に熱心なファンがいるのはよくわかるなあ。話の重量感と広がりがさすが。
思ったよりは読みやすかったです。前半はもうひとつのめり込めなかったけど、後半にはぐいぐい引き込まれました。最後の方にはちょっと涙が。
李歐は大陸的な大きさを感じる魅力的なキャラですね。一彰との強い絆に憧憬も感じます。
ただ、李歐は私のストライクゾーンから微妙に外れちゃってるのよ…なのでもうひとつキャラ萌えができなかったのは残念ですが。
高村薫の作品としては結構読みやすい方だと思いますし、オススメ作品。


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