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殺人を犯してしまった犯人が、自分の身に覚えのない犯罪を解きあかし、自分の殺人もその犯人に押しつけようと推理を展開するどたばたミステリ(…違うのか?)。とにかくテンポ良く話が進み、最後まで一気に読ませられます。 なかなか面白かった、けどラストのあのオチはさほど意外でもなかったかな。あと、あのオチに持っていく為の伏線が読み返してみてもあまりなく、「そういわれればそういうこともあるかもね」という程度になってしまうのは残念。もうちっと、上手に仕込むことも出来たと思うんだけど、やりすぎるとかえって不自然になりかねないという微妙なところなんだろうか。 とはいえ、それ以外の色々なファクターが最後に一つに収斂されてゆく、というか、細かく仕込まれている小ネタが生きてくる手法は読んでいて気持ちがいい。最後に、まさに「殺意が集う夜」だ、といみじくも納得させられる。何よりも、平行して書かれている二つの物語、これが意外なところでクロスするあたりがいい。ちょっち動機に無理がないこともないけど、でもあそこまでやってくれたんだったらそれなりに許せる、かもな。あのドミノ殺人はまるでコントだ。実際そのつもりなんだろうけど。 しかし、万里の推理の中で、園子については結局外れていたのか。こればっかりは本人が死んでるもんで確かめようがない。それとも最初の推理は正しくて、アクシデントが起こったあとの方は考えすぎだったのか。寝れるか、そんな状況で普通。彼女なら寝れそうだ、と思えるところがまた恐い。 |
セツナさんの書評
「殺意の集う夜」 2000年3月22日 |
ストーリー 嵐の中憧れの大学教授の別荘に乗り込んだ万理と園子だったか、そこに居たのは大学教授ではなく留守番を頼まれたと言う五百棲という青年だった。嵐による土砂崩れも起き別荘で立ち往生していると次々と同じように足止めを食らってしまった者たちが別荘に助けを求めに来た。 |
感想 冒頭から死体が6体も転がっている。一体どんな惨劇か別荘に訪れたのか?徐々に明かされていくその内容に一気に読破してしまいました。 ネタバレ感想 万理は弾みで殺意があった訳ではありませんが、殺害された人物それぞれに殺意があったなんて驚きました。と、思っていたら万理が最初の殺人者でしたね。事件途中で挿入される他の殺人事件が別荘に集った人物に見事に繋がっているな。と感じましたが、まさかその犯人が集まってしまうとは、まさに「殺意の集う夜」題名通りの内容ですね。 万理の性別を最初から疑って読んでいたのですが、「マリ」と呼ばれたり、水商売をしていることなどから途中から気にせず読んでいたのですが、最後の1行まんまとやられました。 |