六月後期

『奥様はマジ』『死に急ぐ奴らの街』『殺意の集う夜』
『魔剣士』『メルカトルと美袋のための殺人』『目醒めの詩』
『3LDK要塞山崎家』『雷鳴の女剣士』『黄金色の祈り』
『魔魚戦記』『並列バイオ』『追憶の風』
『化け猫じゃらし』『さわらぬ猫にタタリなし』『イマジネーション・ブルー』
『黒死館殺人事件』

『奥様はマジ』
火浦功 角川スニーカー文庫


読始6/16 読了6/16

コメント・・・
奥様はマジ・・・そーいう系統のSFです。
父カエル・・・そーいうタイプのダークSFです。
てなもんや忍法帖・・・爆笑忍者モノ6話と番外編1つです。
の、三作からなる短編集。
奥様はマジ、みたいな話は・・・書きたいです(笑)そういう無軌道モノ。草上仁の『くらげの日』もこの系統か。
父カエルはおいといて(爆)
てなもんや忍法帖で笑い死にしました。
ストーリーはヘッポコだけど、一発ネタが直撃する。
「えいやさあ、おいやさあ」だけで一週間は笑顔を確保できるぞ。
まぁ、ギャグ好きな人は見逃すわけにはいかないよ。コレ。
あ、だけど、イラストが竹本泉だったらもっと幸せな作品だったかも



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『死に急ぐ奴らの街』
火浦功 徳間文庫


読始6/16 読了6/17

コメント・・・
よりによって純ハードボイルドです。
何のヒネリもなく。
短編で6本。
しかし、短いのがイイ。途中描写を省略することでダレることなく、スッキリと引き締まっている。
渋くてカッコイイ。
まぁ、XXに似てる、なんて思う人がいたとしても、ハードボイルド小説と言うだけで、この業界は全部クローンみたいなモンなんだから仕方がないでしょう(爆)
とりあえず、一見の価値はあり




『殺意の集う夜』
西澤保彦 講談社ノベルス


読始6/17 読了6/20

コメント・・・
どの作品かの解説に載っていてすごく気になっていた作品。
ある別荘で6人殺してしまった犯人が見つけた7人目の死体。
なぜ!!?
と、驚愕しつつ、「そうだ、この7人目を殺した人に全ての罪を被って貰おう。土砂崩れで埋まった道が復旧するまでにその犯人を推理しなくちゃ」というトンデモなストーリーである。
どう?読みたくならない?
それにしても・・・
強力なオチ。他の西澤作品にこのオトシ方あったっけ?
読みが甘かった・・・
それと、まさか、あんな理由で人が一つの場所に集合するとは思わなかった(笑)
あんな話を書いて許されるのもまた西澤さんだけだろうなぁ、ってね



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『魔剣士 黒鬼反魂篇』
菊地秀行 新潮社


読始6/20 読了6/22

コメント・・・
菊地秀行でありながら果てしなく山田風太郎っぽいテイスト。
忍者が出てくるからだろうか?(単純な・・・)
やはり菊秀は和洋中取り混ぜて、科学と魔法が混在していなくては(笑)
さて、内容は・・・
生ける死人の子として、死にながら生きている美男子、奥月桔梗が特に目的もなく(笑)、信長が光秀に討たれてすぐの時代を徘徊する。
奥月は奥津城であり、平たく言えば『墓』。さすが死人の名字。
死人の剣。防御を考えず、ただ攻撃する。ズルイほどの強さ(爆)
果たして彼は歴史にどう関わってくるのか?
猿と狸の化かし合いの中、死人は自由奔放に振る舞うのみ




『メルカトルと美袋のための殺人』
麻耶雄嵩 講談社ノベルス


読始6/22 読了6/23

コメント・・・
メルの短編、7本。
なんせ銘探偵過ぎて長編にならないと豪語する男だ。
しかも、シルクハットにタキシード。ヘンなヤツぅ(爆)
と、いうわけで、思わず「そりゃイカサマだぁ」と悲鳴を上げたくなるような作品も含めてどれもテンポよく面白い。
しかも・・・やることがドコの探偵よりも悪(笑)
友人やってる美袋三条君も時々殺意を抱いちゃう程の人物だ。
まぁ、そんな彼も『翼ある闇』で死んでしまうのだが・・・
とにかく、面白いです。お薦め。



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『ホルス・マスター,4 目醒めの詩』
嬉野秋彦 ファミ通文庫


読始6/23 読了6/24

コメント・・・
面白いは面白いんだけど、ナニか物足りなくなってきたな・・・
逆に言えば、今までの作品と同レベルで楽しめるということで。
今までは無意味に露出度の高い女性キャラが多かったのだが(笑)
今回の新キャラはフードにマントにサングラスという露出ゼロの女剣士。
一体コイツは誰なのかという伏線を珍しく張っている
無能拳士プルプリッサは、またもやディミトリアスをさらわれて命の危険に身を震わせる。
それからどぉする?以下次号


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『3LDK要塞 山崎家』
太田忠司 幻冬社文庫


読始6/24 読了6/25

コメント・・・
別に表紙のお姉さんがセクシーだったから読んでみようと思ったワケじゃない。
ウソじゃないって・・・
このタイトルから連想されたのは『奥様はマジ』である。
もし、タイトル通りの小説であればソレのパクリになっていたのだろうが(爆)そうではなかった。
なにしろ、家は要塞でも何でもなく、木っ端ミジンコになってしまうのだから。
メインテーマは『お父さんが実は正義の味方』である(笑) 二代に渡ってあくどい手で貯め込まれた巨万の富をパァっと使って作られた正義の組織APE。
そして、世界征服を目指している(かもしれない)組織CRAB。
今度の事件の始まりは、自ら興したAPEを引退した山崎兼智にCRABの新総帥が一方的にちょっかいを出してきたところから。
父の真の姿(?)を目にしてうろたえる息子。
家族の平和は一体どっちだ
んーと・・・分からないコアネタがあったから、推奨年齢は30以上かな(爆)



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『ホルス・マスター,5 雷鳴の女剣士』
嬉野秋彦 ファミ通文庫


読始6/25 読了6/26

コメント・・・
ふむ、タイトルになるほど雷鳴の女剣士サマは活躍しないと思うんだけど・・・
前回の続き。今必殺の籠城戦が始まる。
三人の剣王の侵略の前に軟弱金満都市カルバディーンは偶然の灯火。
窮鼠が犬を噛み、夏の虫は心頭滅却するのか!?
まぁ、主人公が負けはせんわいなぁ(身も蓋もない)
と、いう感じの、妹ラヴラヴな悪メガネ、アルハイムが妹と自分のために暴れ回る話(爆)
結局、怪しく登場した雷鳴の女剣士の謎は解かれることなくムニャムニャにされる。
姉や妹ではないらしいが一体・・・
と、いうことで、発刊ペースの早さ(だけ)がウリらしいホルマスシリーズ。中身は並みだ(爆)
つまらなくはないのでご安心を・・・



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『黄金色の祈り』
西澤保彦 文藝春秋


読始6/26 読了6/27

コメント・・・
気分悪い・・・
誰も頷かないとは思うけど、『猟死の果て』の方がマシ。
ほれ、『複製症候群』にこんな感じのセリフがあったべさ。
「コピー人間を作るのはいいけど、自分の欠点を見せつけられたとき平気でいられるか」ってね。
それなんだよね・・・
主人公 = 作者(?)と魂がシンクロしすぎる。吐き気すら感じる。たまらんよ、実際。
自分の人生の過去と未来の醜悪なパロディを見せつけられている感じ。
内容は・・・思い出したくないから書かない(爆)
まぁ、とにかく、重すぎ。
ダメだこりゃ。
いや、拙者にとっては、だけどね・・・



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『魔魚戦記』
吉村夜 富士見ファンタジア文庫


読始6/27 読了6/27

コメント・・・
なかなか面白いです。いや、結構面白いです。
失敗したのはせいぜいがタイトルくらいっしょ(笑)
帝国に支配される星に住まう大ボケ兄妹。
そのころ、祖国復興を目指す軍隊は密かに強力な戦闘力を持つ宇宙人と交渉していた。
彼は、「それが自分の妻となる者の頼みであれば」と。
彼 = 全長2500キロメートルのイトマキエイ、の妻候補として選ばれた大ボケ兄妹・妹のとる態度は!?
戦争の虚しさをメルヘンに描く怪作(笑)
肩の力を抜いて読もう。




『並列バイオ』
秋口ぎぐる 富士見ファンタジア文庫


読始6/27 読了6/28

コメント・・・
さすが、審査員特別賞。な感じ。
すごく変/おかしな文体   普通の賞は絶対狙えないだろう(爆)
しかし、どうして審査員特別賞をもらえたか=巻末の解説 を読んでから本編を読めば面白さは五割増しだ。
さらに評価が別れるのはこの想像しにくい世界風景。
世界の環境汚染から地球を守るためにあらゆるモノが有機物。
建築物がキノコ(?)なら、船の動力は巨人である。
しかも、怪しげなミュータントや強化人間も登場して・・・。うん、登場キャラはうまく描かれているかな
でも、テーマはオーソドックスに。
並面白。


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『ホルス・マスター,6 追憶の風』
嬉野秋彦 ファミ通文庫


読始6/28 読了6/28

コメント・・・
ついに、極悪メガネ、アルハイムの過去が明らかになる。
が、今回の旅の目的は?
ソレがベルタルダの正体だとでも言うのか!?
雲に覆われた冬空を吹き抜ける追憶の風は彼らをらしくなくさせる・・・
それはいいんだけど、七星剣士団も片付かないウチから六絶卿なんて敵が現れる。
いや、アルハイムに『敵』なんて概念はないんだけどね。
自分と妹とそれ以外(爆)
向こうから手出しをしなければ、大人しく妹を可愛がるだけ・・・
そんなの小説にならないやい、ってんで、いつも誰かが二人の愛の妨害をするのであった。



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『吉原天災騒動記 化け猫じゃらし』
高橋夕樹 富士見ファンタジア文庫


読始6/28 読了6/28

コメント・・・
佳作作品を一年かけてリメイクしたモノらしい。
だから、と言っちゃ変だが、サブタイトルにあまり意味がないし(爆)、何かやってくれそうだった男も何もしないまま逃げ出すし(笑)
確かに、言われてみるとツギハギされたような文章かも知れない。
ちなみに、吉原天災ってのは人名であって、江戸色町物語じゃないです(爆)
舞台は大阪。大阪弁込みです。
美人の奥さんと娘を持ちながら愛人が四人もいるという(クソ、羨ましい)スチャラカ春画家吉原天災は、実は草むしりから妖怪退治まで何でもこなす仕事屋だった。
火事で家を失って彼は再び仕事屋に戻るのであった。
・・・
ええい、40男が主役を張るんじゃない!!(爆)
それはともかくとして、たくさん伏線を張って次回作が出そうな気配ではあるが、出てるかな?
探してまで読みたくはないが




『猫稲田占術縁起 さわらぬ猫にタタリなし』
春眠暁 富士見ファンタジア文庫


読始6/28 読了6/29

コメント・・・
ん、まぁ、よくある学園オカルトコメディ。
猫稲田神社の女子高生巫女さんを主役に、霊的にタフな少年(諸星あたる的)、ライバル的美少女が学園でドタバタするだけ。
うーん、ツボポイントがないんだよねぇ、特に。
あえて選ぶならライバルキャラのお嬢様がラヴリー☆
主人公は何がやりたいんだかワカランのだよ、コレが。
化け猫の式神を使ってケンカケンカ(笑)
まぁ、なんだな。ヒドイ言い方をすれば、ツマランとまで言い切っちゃえるな。
お約束過ぎるんだね。意外性をくれ・・・




『ブレイク・エイジEX イマジネーション・ブルー』
遠野ひろみ ファミ通文庫


読始6/29 読了6/29

コメント・・・
今回もまた、ゲームに燃える男と女と恋愛発生、というワンパターンさ・・・(ヒデェ)
そーゆーパターンのBOY’S BE だがね
ん、でも、面白いな。
ゲームにかける熱い思いとゲームの迫力がバッチリ出てるさ。
しかし、読破に1時間程度しかかからないと言うのはどうかと思うぞ(薄)




『小栗虫太郎全作品,3 黒死館殺人事件』
小栗虫太郎 


読始6/29 読了7/8

コメント・・・
ワケわからん(爆)(爆)(爆)
スタートから全開バリバリ。
探偵、法水麟太郎の超(メタ)推理。
一体ドコを見てナニを疑っているのかサッパリ分からないまま、彼は詩の一編を投げつけることによって相手の心理をかき乱す・・・
「そんな詩知らねー!!」と読者が悲鳴を上げているのに、対する容疑者等は法水に踊らされるように詩でもって返事を返していく。
そーだね・・・言うなれば、お上品な『コロンボ』?。別に『古畑』と言ってもいいけど・・・
はっきり言って、ぜ〜〜〜〜んぜんワカランかった。
一読目で良さを理解できない本も、あんまり、名作と呼びたくはないなぁ・・・
この本を読みたい人は、まず、西洋の詩に造形深くならないと、どうかと思うゾ。
読書数を稼ぐのが目的の人には合わないね。何度も読み直すことの出来る熟読派の人向け。




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