hideさんの書評
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『殺戮に至る病』 我孫子武丸(講談社ノベルス)
笑い0点 涙2.0点 恐怖4.0点 総合3.0点
 惨殺、そして陵辱――。何ものかに憑き動かされるように次々と猟奇殺人を重ねていった男の名前は 蒲生稔。
 冒頭の”エピローグ”で示される事実が、最終章であっと驚く意外な変容を遂げる。異常犯罪者の心の軌跡をたどりながら、 想像力の欠如した現代人の病巣を抉る、衝撃のサイコ・キラー。<本書あらすじ引用>

 ”ネクロファイル(死体愛好者)とそれを取り巻く人々の日記”風にストーリーが展開する。その至る所に読者をおとしめる穴が 広がっていて、最後の数ページを読み終えたとき、自分が作者の意図する通りに、穴に落ちていたことがわかった。 というように、確かにあらすじにあるように最終章であっと驚かされる。しかし、その驚きを得たいがために読むのには、 少々ヘビーすぎる内容だ。僕は、読んでいて、吐き気を覚えたほど残虐描写の連続だ。そんなかなりの残虐描写に耐えうる人には、 薦められるが、そうでない人は読まない方が、いいかもしれない。


セツナさんの書評
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「殺戮にいたる病」
我孫子武丸 講談社文庫
2000年4月4日
ストーリー
 次々と起こる猟奇殺人。犯行を重ねているのは蒲生稔。一体彼はどうして猟奇的な惨殺と陵辱を繰り返すのか。猟奇犯罪を繰り返す稔の心理を克明にたどって行く。
感想
 何よりも、今までの我孫子作品とは、まったく感じの違う内容に驚きました。速水3兄妹、人形探偵シリーズとは違った衝撃的な内容と結末で、我孫子氏の代表作と言われている評判に偽りなし。犯人が一体どんな病に侵され殺戮にいたったのか。印象に残る一作です。

ネタバレ感想
 猟奇殺人。それも殺害シーンや殺害後の稔の行動を克明に書いて随分とグロテスクな内容です。殺害がベットシーンで行われるからなのか、はたまた稔が切り取った性器で自慰行為に耽っているからなのかは分りませんが、その情景が、妙に読んでいて猥褻でした。
 母親を探偵役にして騙す叙述はとても見事で、最後は大変ビックリしました。

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