麻弥さんの書評
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●「トップラン 第1話 ここが最前線」清涼院流水[幻冬舎文庫]457円(00/4/20)

「コズミック」や「カーニバル」などで悪名(?)高い、清涼院流水の文庫本書き下ろし新シリーズ。「カーニバル」も「ユウ」も買ってはいるけど積読になってしまったせいもあって、この作家さんに特に執着はないんですが………表紙が「サイコ」でお馴染みの田島昭宇さんで、これがまた線が繊細で美しくて、色使いもいいんですよっ。絵に魅せられて買ってしまいました。
それにしてもこれ、ある意味、すごい作品かも。プリントアウトされたワープロ文書をスキャナで高画質で取り込んで、そのままBMPでWORDに貼り付けたファイルのような。…圧縮すると100分の1以下になります。
話のアウトラインは、大学生の恋子が、貴船天使という見知らぬ男から「鑑定テストを受けないか」と持ちかけられる。33問に答えるだけで100万円をもらえるほか、テストの結果でつけられる「値段」だけお金が支払われる…というあまりにも怪しすぎるおいしい話を恋子はいぶかしく思いながらも引き受けることに…という内容。
星新一だったら同じ内容のものを5ページのショートショートにできるんじゃないかなあ。
それに現代のできごとをそのまま料理もせずに並べられても…同時代性をウリにするにも、固有名詞を列挙されてるだけじゃねぇ。それともそれが今後の展開に深く関わるとでもいうんでしょうか? その可能性は薄いような気がしますが。
清涼院流水は、内容の割にページ数が多い作家さんではありますが、それでもここまで薄いのは初めて。これに比べたら同じ作者の「コズミック」や「カーニバル・イヴ」の方が(あれでも)10倍くらい濃いです。
これから2か月おきに6回連続でシリーズが刊行されるそうですが、最後までやっぱりこの密度でしょうか? 続きは…田島昭宇さんのイラストがよければまた買ってしまうかもしれない。


神薫さんの書評
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幻冬社
「トップラン 第1話 ここが最前線」★★
 2000年元旦に二十歳の誕生日を風邪っぴきで迎えた恋子。ついてないかと思いきや、偶然出会った謎の男・貴船天使から大儲けのチャンスを貰う。それは、人間に値段を付けるという、心理テスト答えることが第一関門だった!?…というお話。家庭や友人に恵まれたヒロインがヒマで羨ましかったりする。だってどーでもヨイことでグダグダ悩むんだもんさ。出会いがあるまでの、ふだんのヒロインの暮らしぶりがなんてことなくて少々タイクツだ。

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