永田さんの書評
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死者は黄泉が得る/西澤保彦

とにかくよく判らない話でした。いや話の流れは良く判る。でも、結局だからどうだったのか、という謎解きの説明がどうにも不足しているように思えて仕方がない。多分、この話はもっとウラを読むべきか、それとも全体で壮大な謎掛けがなされているのかも知れないけど(森博嗣の『笑わない数学者』を思い出した)、でも判らなかった。
一応それなりの推理は提示される。でもその直後にそれを覆すような事実が明らかになってそれで終わりってそりゃあないでしょうよ。もっと親切に説明してくれてもいいのではないか、と思うのは読者の甘えだろうか。竹本建治なんてそう言いそう…。
あと、SUBREだのMESSだの、よくわからない仕組みのものの説明ももっと欲しかったような。その屋敷の成り立ちとか、結局『創造主』は誰だったのか、冒頭で集まっていた女達にそれぞれ関連性はあったのか(最後でちょっと出てくるだけじゃないの)何故唐突に『バグ』が治ったのか、あああ全然判らない。誰か私に説明して。
今までの西澤保彦のパターンからして、こういうのの説明はそれなりにあるはずなのに何故今回に限ってこんな分かり難い書き方がされているのだろうか。
どうにも、事件の真相も事の仕組みも曖昧なままで終わったので消化不良な気分。『屋敷』外の殺人事件の犯人にしろ、自分で喋っただけだからそれが真実とは決められないし。こんな話の中では特に。××があの時に言った××は結局嘘だったのか、とか結局××は何だったわけ?とか…こうまですっきりしない推理小説も久しぶりだった。頭脳が試されるゲームだったのねミステリって…。


Quanさんの書評

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死者は黄泉が得る

 読み終わった後、確認のため読み直さずに入られない作品。
 いやあ、まさかあの展開からあのラストに持っていくとは・・・・。これは展開とラスト、二重にマジックです。
評価☆☆☆☆
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