七月前期

『あなたは虚人と星に舞う』『仇討小説全集』『ダブルダウン勘繰郎』
『スターハンドラー2,上』『スターハンドラー2,下』『魔人同盟』
『魔人同盟(完結編)』『神牌演義,3』『狼面司祭,1』
『狼面司祭,2』『狼面司祭,3』『海賊島事件』
『多情剣客無情剣(上)』『多情剣客無情剣(下)』

『あなたは虚人と星に舞う』
上遠野浩平 徳間デュアル文庫


読始7/1 読了7/1

コメント・・・
夜を視る者、ナイトウォッチシリーズの第三弾。
宇宙から圧倒的な力を持って人類に襲い掛かってくる何者か・・・虚空牙と戦うために造られたナイトウォッチ。
今回は、虚空牙に破れ、汚染されたと思われる『虚人』ヴルトムゼストと、それを駆除すべく攻めてきたスコルピオ・スコードロン小隊のバトル。
もちろん今回も、パイロットの安全装置である仮想世界のワケワカラン系お話もありますが。
なんというか、抽象的で理解しづらいストーリーは、ドグラマグラに近いものを感じる。
だけど・・・なんだかよく分かったような気もする。不思議だ。
要するに満足した、ということ。



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『仇討小説全集』
菊池寛 講談社大衆文学館


読始7/2 読了7/3

コメント・・・
菊池寛の書いた仇討短編9本が収録されている。
面白く無いな。
なかなか面白いかもしれないな。
・・・
つまり、仇討と言うネクラなストーリーが面白くなくて。そう、あきらかに悪である敵を倒して本願成就という展開は無く、もともと仇自体がくだらないほど些細なことから発展した斬り合いだったりするわけで、スカっとさわやかなカタルシスを期待すると肩透かしを食らう。
そのかわりと言うのもなんだが、ネチネチと11種類もの仇討から生まれる葛藤、人の心の動きが興味深く書かれている。
だいたい仇討自体大変なんだよね。
歩けば広い日本、写真も無い時代だからせいぜい似顔絵を頼りに全国行脚で仇を探す。
そういえば・・・馬に乗って敵を探すって話は全然聞かないな・・・なんでだろ?
それはともかく、5年6年当たり前、ヘタすりゃ数十年。仇が生きているかどうかも分からずに探し回ることだってあるわけで。やってらんないなぁと思う人もいるわけだ。
そしてようやく仇に出会ったら・・・
仇を討つ方だけではなく討たれる方の心情も人それぞれ。
ん〜〜、まぁまぁ。かな




『ダブルダウン勘繰郎』
西尾維新 講談社ノベルス


読始7/3 読了7/4

コメント・・・
戯言シリーズが貸し出し中だったので手にとって見た。
すると、清涼院流水のJDCを舞台にしたものと書いてあるではないか。
最近、舞城王太郎も九十九十九とかいうJDCモノを書いたらしいし・・・しばらく続くのか?
まぁ、JDC好きなものでとりあえず借りてみたのだが・・・
イントロは最悪。これが初西尾だったら投げ出したくなるほどウザオープニング。
その後もOPほどではないにせよ、語り部のネチネチとしてイジイジとしたウザウザな心情がグダグダと挿入されていて、読んでて面白いものではない。
対して、虚野勘繰郎の自分勝手すぎる奔放さもはっちゃけ過ぎで、爽やかというよりは「爽やかテイステー」とコーラを飲んだら鼻から炭酸ゲップが突き抜けてグフゥといった気分。
些少の驚きを読むためにそういう躁鬱展開を読む価値があるかなぁ?と。
西尾維新をコンプリートする以外の意味で読む必要は無いだろう。




『スター・ハンドラー2 さまよえる海[上]』
草上仁 ソノラマ文庫


読始7/4 読了7/5

コメント・・・
動物のことならおまかせ、のゼネラル・ブリーダー社。
惑星ヴィニヤードで「海」を馴致してこい。という不条理な指示にいつも以上にソバカス顔をしかめっつらにするミリ。
彼女をトラウマの塊と評する同僚のヒューは、二人でヴィニヤードへ行く事になったのだが・・・
「宇宙船のパイロットがいませんよ」>>勉強しろとパイロット集中講座のソフトを置いていかれた。
「いや免許間に合わないし」>>なぜかそこには免許証があった(笑)
そんな敏腕事務員ミズ・ワイズ。
ヴィニヤードはヴィニヤードで、クマのような外見とパワーを持った女性首相マルレーネが・・・
ことあるごとに人をぶん殴ったり無機物を破壊してストレス発散していたり。
ライバル党の副首相は迎合することを至上の幸せと感じていたり。
通じようと通じまいと一言しかしゃべらない無口な金持ちが、海釣りのために無茶をしていたり。
へんなヤツばっかりで面白い事になっていた(笑)
そんなこんなでなんとかヴィニヤードに到着したミリとヒュー。
海に着水したのに・・・そこは砂漠だった。いや、海が逃げ出したから(爆)
そして、知性を持った海との壮絶な(ことにはならないであろう)戦いが始まるのだった。




『スター・ハンドラー2 さまよえる海[下]』
草上仁 ソノラマ文庫


読始7/5 読了7/6

コメント・・・
ミリは思った。
何が悲しくて小便を調教しているのだろう・・・それも何日も風呂に入っていない中年男の・・・
そういう・・・表紙です(爆)
本当にこんなことで海を調教することが出来るのだろうか。
農業に力を貸したと思ったら今度は干上がらせてみたり、魚をたくさん取らせたかと思うと不漁にしてみたり、そんな勝手気ままな海を。
そもそも、知能を持った海は一体何を考えて行動しているのか?
まぁ、とりあえず、キャラが笑えるのでそれなりに楽しめる。
そして、ホントかネタか、クローン人間がなかなか成功しない理由など書かれている。
一番の謎は、ミリに対して記憶操作を行う父親と思われる人物の行動か。
わかるような、わからないような・・・
要するに次の作品も出たら読むと言うことだ。




『魔界都市ブルース青春鬼 魔人同盟』
菊地秀行 ノンノベルス


読始7/6 読了7/8

コメント・・・
新宿にやってきたのは、よりによって、秋せつらと浪蘭幻斗の初恋の女性だった・・・
と、腐女子が本を焼き払いかねない危険なストーリー。
10年ぶりに逢った彼女、海方志保はどうにも元気が無い。
影を奪われたらしい・・・
影は彼女に瓜二つの人形に封じ込められ、もう一人の海方志保となって動き出した。
そこに関わって来る古代の「王」
対するはせつら・幻斗・メフィストによる魔人同盟。
その頃、屍刑四郎はまだ無敵ではなかった・・・
と、いうことで、一部レギュラーの過去話を読める以外の面白さは、無いかな。




『魔界都市ブルース青春鬼 魔人同盟(完結編)』
菊地秀行 ノンノベルス


読始7/8 読了7/9

コメント・・・
ネタか本気か、スイカの食べすぎで苦しんでいるところを助けられたドクトル・ファウストは、鷹貴に自分の技術の一部を伝えていた・・・
せつら・幻斗・メフィストは「王」とその部下と激しいバトルを繰り広げる。
しかし・・・高校生として転校してくる敵ってのは笑うところか?
とりあえず、驚くほど少ない枚数で無理矢理終らせる技術に驚くかも(笑)
ホント、読んでて「終るのか?終れるのか?」って心配しまくりだったし。
もちろん完璧なオチなどではなく、シャボン玉が消えるような終わり方なんだが・・・
この三部作はスルーしても問題無しかな。
見所はせいぜい・・・幻斗がヤクザのオヤジのケツ穴にすりこぎをぶち込むところくらい(爆)




『神牌演義,3 震撼!さいたま新都心』
吉岡平 ファミ通文庫


読始7/9 読了7/9

コメント・・・
神牌と呼ばれるカードから武将を呼び出して(周りを大破壊しながら)戦うカード使いの物語(爆)
まぁ、それなりに面白いんだけど・・・
軽すぎ?
ライトノベルなんだから軽い読みやすさがあればそれで十分という見方もできるけどね。
あえて冷たい視線でこの本を読むと、すごいすごい。
ページが白い白い。下半分がメモ帳になりそうなくらい空間だらけだ(笑)
次回は神牌使いトーナメントになるらしいぞ。
お約束を極めるらしいが・・・どうなることやら。




『狼面司祭,1 真紅のピュリテー』
秋津透 ファミ通文庫


読始7/9 読了7/10

コメント・・・
ビーストプリーストシリーズスタート。
主人公のピーター君は天才聖騎士にして、美貌の14歳(笑)
しかし、地獄王を名乗る悪党を退治したときに呪いをかけられ、昼は狼男・夜は人間というやっかいな体質にされてしまった。
狼時はとんでもない体力を誇り、人間の時は魔法が使える。
かなり便利っぽい体質に見えるが・・・変身時に肉体精神ともに激しくダメージがあり、短ければ1年の命と言われてしまった。
ピーターは、この呪いを解けるかもしれない放浪の聖者オーガスタス様を探して辺境旅に出るのであった。
まぁ、毎度のことながら導入は上々つかみはOK
マジメで思慮深いピーター。彼に取り憑かされた狼霊ルガリア。短慮な精霊使い少女ロビナ。
対するは、蛇女神ピュリテーと眷属の鱗人間メドーラ。
彼らの冒険にはワクワクさせられるが・・・
イ ラ ス ト が ク ソ
表紙やカラー口絵は別にイイ。アニメ絵はキライじゃない。つーか好き。
でも戦闘シーンの迫力の無さは伝説レベルだ(笑)




『狼面司祭,2 深紫のミューネー』
秋津透 ファミ通文庫


読始7/10 読了7/11

コメント・・・
さて、前回蛇女神をズタボロの挽肉血泥に分解したピーターだが・・・
今回の敵も別の蛇女神、ミューネーであった(笑)
辺境二大種族、狼を奉じる者バゴーラと蛇の眷属メドーラ。
主人公が狼憑きになってしまった以上、蛇と戦い続けるのが宿命か?
狼霊が「住人はどいつもこいつもヘビ臭い」と、のたまう街で一対何がおきるのか、と。
今回は特に新メンバーの加入は無し。ピーターinルガリアにオマケのロビナがついてくるだけ。
ゆえに、感想は1巻とほぼ同じ。イラストがクソ(爆)
折り込みのパロマンガは笑えたけどね。
所詮はソッチ系の絵でしかなく、ちょっとでもマジ入ったシーンには全くそぐわないものであるな。




『狼面司祭,3 黄金のデュファイライ』
秋津透 ファミ通文庫


読始7/11 読了7/12

コメント・・・
事態は急展開。
実は、ピーターに取り憑いていた狼霊にさらに寄生する形で地獄王ロックウェルが取り憑いていたのだった。
狼霊の力を吸収して、ピーターの体を乗っ取ろうとするロックウェル。
どうなる、最終巻!
と言いたいのだが、ロックウェルがピーターの体を乗っ取った所を聖オーガスタスが灰も残らず焼き尽くした後が本編だ(笑)
今までキンギョのフンでしかなかった、そしてピーターにいちいち「犀・・・じゃない、お嬢さん・・・」と言われるほどに短慮猛進少女騎士見習い精霊使い、ロビナ・ブルーメルの活躍の番だ。
そして狼信者長老から肉体蘇生のできる可能性を持った首座精霊の存在を教えられる。
・・・
狼が崇めるモノも蛇女神様なんだね・・・(笑)
ピーター復活までの大冒険(?)
ちょっと急ぎすぎた感がある。売上不振で縮められたのかな?
上下巻くらいで余裕を持って書かれたらもう少し面白くなったかも。




海賊島事件the man in pirate's island
上遠野浩平 講談社ノベルス


読始7/12 読了7/13

コメント・・・
戦地調停士シリーズ第3巻。
今回は、第一巻で活躍した3人が再登場だ。
世界最強。王者の風格。風の騎士。ヒースロゥ・クリストフ。
それなりの才能を持ってはいるが・・・必要以上に持ち上げられる(?)女軍人、レーゼ・リスカッセ。
仮面の戦地調停士エトワーズ・シーズワークス・マークウィッスル。通称ED。
ついでに前2作からも聞いたことのある名前が微妙に登場するのが、まぁ、ニクイ(笑)
とりあえず今回調停するのは・・・
聖ハローラン王国の姫を殺害したと見られる一人の男。コイツを引き渡せ、とダイキ帝国海軍が海賊島に押しかけてきた。というやっかいごとを丸く治めて欲しい、とのこと。
一人だけ別行動で、死んだ夜壬虎姫の謎を解く仕事に入ってるけど。
しかし、謎解きと言うテーマよりも「人生の勝ち負け」に重点を置いている感じ。
あぁ、一番面白かったのはEDの調停だな。
登場シーンで、帝国兵と庭師の口論「花の世話をさせろ」「いやダメだ」これをスッパリ解決するシーン。
双方の張る『意地』を舌先三寸で上手に消し去ってしまう。
意地を奪われたら、ねえ。誰でもどうしようもなくやる気が消えちゃうもんだ。
「GOODミステリ」では無いが、面白い作品ではあるな。



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『多情剣客無情剣(上)』
古龍 岡崎由美:訳 角川書店


読始7/13 読了7/15

コメント・・・
金庸以外に武侠小説を書いている人といえば、現時点ではこの人くらいしか名前があがらないようだ。
いや、正確に言うと、翻訳されているものでは。 なんだが。
で、この話。肺を患った、そして飲んだくれな達人、李尋歓の苦悩の物語。
小李飛刀と恐れられる神速の飛び道具を使うほどの男でも悩みというものはある。
親友に許嫁を奪われた、という彼がなんとなく古巣に戻ろうとした時、次から次へと襲い掛かるやっかいごとと殺意の連発。
そして、小李飛刀は遠慮などしないからものすごい勢いで死者続出。
それがまた恨みを買うんだが・・・仕方がない。
酔拳の使い手ではないが、酒を飲まなければやっていられまい。つーか酔仙の域に達しておられます。
彼を友と認めた若者、阿飛も剣の形をしていない剣を振るって戦いまくる。
金庸とは角度の違う作品だが、これはこれでなかなか面白い。
さしあたっては阿飛の影響を受けて、食事は一口ずつしっかり噛んで、カケラさえも完全に吸収するつもりで食べるようにして見るかな。
まぁ、日本は阿飛が育ったような苛酷な環境では無いけどね。体には良さそうだ。




『多情剣客無情剣(下)』
古龍 岡崎由美:訳 角川書店


読始7/15 読了7/17

コメント・・・
必殺の悪女、林仙児が全ての中心でかき回し続ける。
達人と呼ばれる男らが、あっさりと篭絡されて殺し合いを始める様は、お話といえど泣けてくる。
李尋歓が彼女の魔の手にかからないのは、いまだに別れた許嫁のことをネチネチと思い続けているから・・・というあんまりカッコ良くない理由だと思われるが(笑)
だが・・・阿飛はそうもいかない・・・
地獄に突き落とされる。
悶え苦しむ友を助けたいと思う李尋歓。
しかしそれは自分自身でどうにかしなければならない問題だ。
李尋歓は阿飛の復活を祈りつつ、強敵、上官金虹との死闘に向かう。
まぁ、熱かった。
林仙児に惑わされずに侠客でいられたキャラはごくわずかだったのが難だが(笑)




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