六月前期

『念力密室』『匣の中の失楽』『夢幻巡礼』
『ドグラ・マグラ』『複製症候群』

『念力密室』
西澤保彦 講談社ノベルス


読始6/1 読了6/2

コメント・・・
神麻嗣子のシリーズ第一話を含んだ短編集なのだが、シリーズ三冊目という不思議な発刊のされ方(笑)
全ての事件は『念力で構成された密室』とネタが割れているため、読者が推理するのは主に動機、あるいは犯人も、ということになる。
そーだね、どっちかというと匠千暁シリーズに近い作品形式だ。
だんだん西澤保彦の読み方が分かってきた。
そこに気付けば犯人も動機もフフフのフ。
しかし、西澤作品を楽しむためには誰かに出演キャラリストを作ってもらわにゃイカンかも
それにしても彼女が・・・嗣子ちゃんが初対面の保科にあんな残酷なことをするとは(笑)
曰く、「屈辱的な洗濯をするハメになった」
辛いねぇ、おとっつぁん(笑)



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『匣の中の失楽』
竹本健治 講談社ノベルス


読始6/2 読了6/5

コメント・・・
面白いと言っていいだろう。
さすがに名作といわれるだけのことはある。
そんでもって、これの実在の人物を登場させたバージョンが駄作の『ウロボロス』なわけだ。
現実と小説、二つの世界が入り交じり、どちらが現実なのか掴めなくなる。
やってることは作中で登場人物が言っているように『虚無への供物』
しかし、片方の世界で死んだ人物が別の章では「はっはっは、殺されちゃったよ」なんて言うんだから不思議だ。
そして、嫌がらせのように「コレが小説だったら読んでる人はどっちが現実でどっちが小説かわからないよね」などと言い出す始末。
まさにナゾナゾナゾのクエスチョン。
しかも、登場人物がすごい勢いでポンポン勝手な推理を出していくモンだから読者は謎を解くヒマなど無い(笑)
ほら、他人が推理しちゃうと「あぁ、そうかな?」って納得しがちでしょ。
まさか、それもトリックの一環なのか?
謎疲れするかもしれないけど、読んでみたら?



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『夢幻巡礼』
西澤保彦 講談社ノベルス


読始6/6 読了6/7

コメント・・・
いつものシリーズとは思えないほどダーク&猟奇。
いや、作者もちゃんと「いつもとは違う番外編です」ってことわってるんだけど・・・
最終回のための伏線。
今回の主人公、名蔵渉はレギュラーである能解匡緒警部の部下であり、殺人狂でもあった。
しかも!!その能解警部を殺すことを人生最大の目的として心に秘めている超超危険人物。
そんな彼の独白にも似た物語・・・と、思いきや、そこには当然気付かなければならない齟齬が存在するのであった。
犯人探しじゃないから気付きにくい・・・、つーか、分かんなかったんだけど(爆)
しっかし、何かに似てると思ったら・・・
これぁ、アレだよ。猟奇な感じが『ウロボロスの偽書』の殺人者のパートに似てるんだ。
読み比べ、してみる?



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『夢野久作全集,4 ドグラ・マグラ』
夢野久作 三一書房


読始6/7 読了6/18

コメント・・・
ムフゥ・・・
そんな溜息が出てくる(笑)
コレが四大ミステリの一つであるというのはやはり疑問である。
後の世のミステリのために作られた外骨格とは言えるのだが・・・
しかし、つまらないわけではない。
確かにあまりにも冗長に過ぎる文章だが、それも全てオチのためにあったと言えるかも知れない。
このオチ・・・西澤保彦のストレートチェイサーと清涼院流水のコズミックのオチを足して2を掛けたくらいスゴイと思うゾ、拙者わ。
そこで、ムフゥ・・・と溜息をつくわけだ(笑)
探偵小説と言いながら探偵小説ではない、何を書きたいのか分からないと言っていい作品だが、他に分類するジャンルもあるまい。読者を煙に巻くのが目的なんだからやっぱりミステリなんだろな。
キチガイ地獄外道祭文なんて、かったるくて読む気の失せるところもあるけどさ・・・
時間に余裕のある人は読んでみたら、とお薦めしておきたいんだよね。やっぱ。
漢字難しいけど頑張って読んでね(爆)



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『複製症候群』
西澤保彦 講談社ノベルス


読始6/8 読了6/9

コメント・・・
んーむむむ。
これって、アレ。どんでん返しはあったかな?
プロローグっていうか出だしに全て書いてあったから「あぁ、やっぱりね」以上の感想は持てなかったんだけど。
ほとんど予想通りの展開でしたわい。
だが、勝利の味は無味無臭。うみゅぅ、もっと小説を楽しみたかったぜ。
いや、唯一読み切れなかったのはコピーによる修正結果。
あれはちょっと、ヒント無かったし・・・(言い訳)
謎度が低い代わりに、極限状況での緊張感を堪能することが出来る。
クライマックスはなかなかイイ感じ。
ハイスピードスプラッタ(爆)
血まみれ肉まみれの中、少年は何を思う?(やだなぁ、そんなの)



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欄外 独り言コーナー


ドグラマグラはなかなか読み終わらないので乱読家の人は注意しましょう(爆)